虐殺器官

言葉にとって意味がすべてではない、というより、意味などその一部に過ぎない。(中略)ぼくらには明瞭に意識も把握もしようがない、呪いのような層の存在を語っているのだ。(P.225)

この作品を読んで、かなり慄然としました。
なぜならこの本で手口とされている理論の門前ぐらいにはきている研究をしているように思えたんで。文章の中の意味や構文とは関係なく、文章自身が持つ数学的構造があってそれを検出していろいろな分別などに使えるという研究成果を出しています。このSFが、自分の研究の悪い方の行きつく先を指示しているようで、ぞっとしたわけです。
サイエンスフィクションってのは、本当にサイエンスが作る未来の予測なんだなと。願わくば僕らの研究の行きつく先がこういう未来でないことを祈って。

倫理の崖っぷちに立たせられたら、疑問符などかなぐり捨てろ。(P.25)