街場のメディア論

「読む人が現時点でいようがいまいが、いつかアクセスしたい人が出てきたときにすぐにアクセスできるようなシステム」を作り上げました。まだ存在しない読者さえも読者として認知して、その利便性に配慮した。あまり言う人がいませんけれど、電子書籍がもたらした最大の衝撃はこのことにあったと僕は思います。(P.131)

むむむ。うちの会社の電子書籍ビジネスモデルの胆を文系的に表現するとこなるのか。さすがですね。もう一つ軸がありますが、そっちは隠しとかんとね。
以前読んだ下流志向と底流に流れる考えは一緒。市民社会に関する考え方は非常に共感できるんだけど、どうも結論(といっても、書籍の外の社会に出ての発言や行動)のところで、今一つ合致していないんだよなぁ。何が違うんだろう。ともあれ、今回も読みながら至極納得という一冊でした。

彼らのような未成熟な市民が大量に生み出されたことによって、日本の市民社会のインフラの一部は短期間に急速に劣化しました。特に、医療と教育がそうです。どちらも制度的な崩壊の寸前まで来ています。(P.71)

メディアが「変化を求める」ことは誰にも止められません。変化のないところにさえ変化を作りだそうとする。変化しなくてよいものを変化させようとする。(P.113)

彼にとっては、一流大学を出ているのにもかかわらず無知であることは少しも「恥ずかしいこと」ではなく、無知であるにもかかわらず一流大学を出たことこそが「誇るべきこと」だったのでした。(P.121)