反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体
そうさ、あんたは五ドルもする百科事典で、おれは二セントのタブロイド紙だ。お高くとまった連中は、そういうのが好みかもしれん。だが、ハーバード主義・イェール主義・プリンストン主義にはうんざりだ。おれは神学も生物学も知らないし、学問は何ひとつ知らない。だがな、大衆は誰も百科事典なんか買わない。タブロイド紙を喜んで買うんだよ。おれがその大衆だ。(P.222、大衆伝道家ビリー・サンデー)
これを読んで、なるほど、反知性主義ってのは日本と親和性が高いんだなと思った。よく似た社会現象を日本は500年ぐらい前に経験している。いわゆる大乗仏教の普及だ。ええじゃないか踊りとか、念仏だけ唱えとけとか、現世利益重視とか、実にそっくり。それで大衆に受け入れられていく。
反知性主義ってのは、言い換えると、キリスト教の大乗化みたいなもんだ。単純な一神教と多神教で宗教で論じがちだが、大衆のありようとして、宗教が小乗的か大乗的かってのはあるんだろうな。その要素の一つに反権威で反知性ってのは付いてくるのだと。
非常にいい一つの学びになりました。ただ、読みにくくて随所で眠かった。でも読了後の評価としては良書です。はい。
中世の聖職者たちは来世のことしか語らなかったのに、アメリカの説教者はいつも現世でどのような利益をもたらすか語る。アメリカ人は、利益に引かれて宗教に従うが、その利益を来世ではなく現世に求めるのである。(P.218)