経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策
必読の良書。デュルケームの自殺論以来の命と政策の相関を語った良書である。
政策を語るというのは、トピックを騒ぎ立てるのではなく、冷徹な数字と政策の相関を統計的に把握し、確率論的に判断していくこと。その統計が人間の思い込みや信じたいことに反していても、それこそ耳を傾け判断するのが政治の仕事に他ならない。
この本をただ読んで、生活保護を手厚くしろとか野党のロジックじゃんかとか、そういうことを言い立てたり、反対に、それみたことか福祉(俺の利権にある)を手厚くしろとか、言い立てたりというおかしなことはやめていただきたい本でもある。
正しい統計とその処理は嘘をつかない。イデオロギーは政策決定の現場から立ち去るべき時が来たのかもしれない。