謙信の軍配者
自分は戦をするだけの男だ、政治絡みのややこしいことは、そっちで勝手に話し合ってくれ(上P.69)
さて、早雲の軍配者、信玄の軍配者と続く軍配者シリーズの完結編。今度は謙信です。
なんというか、ひたすら戦うことを望む君主を、政略から支える軍配者と、戦場での助言で支える軍配者。なんだか贅沢だなぁ。上杉陣営。
戦国の世が終わるってところまで行きませんが、確かに関東から見たらこの辺が戦国時代のクライマックスです。ぜひ、3作品続けてお読みください。
「心配はするな。そのときは、そのときだ。たとえ敵の手にかかろうと、おまえを恨んだりはせぬ。戦場というのは命のやり取りをする場所だ。出陣するときには、いつも覚悟を決めている」(上P.158、晴信)
「あの男は魔物だ。これだけ狡賢いのは、とても人間業ではない。それほどの敵を倒そうというのだがら、いちいち腹を立てても仕方がない。じっくり腰を据えて、たとえ何年かかろうとも必ず、わしの手で滅ぼしてやる」(下P.129、景虎)
「北条の領地に暮らす者たちが平穏に幸せに暮らすことだけが大切なのだ。その暮らしを守るためには北条が滅びることはできぬ。たとえ家名が恥辱にまみれようと、そんなことはどうでもいいことだ」(下P.179、氏康)