松前の花

「自分も死ぬつもりでいるくせに、命を大切にしろなどと言えた義理なのか、とね。まったくだ。その通りだよな」(下P.83)

箱館売りますの続編。
なんというか、設定がまた変。和菓子やだけどパン作りをする羽目になる人が主人公。まったく、設定を見た時は「えー?」って感じ。
前はわりと下敷きになる事件があって、歴史を知る人だけがニヤッてできる場面が多かったけど、今回はある意味純粋なフィクション。
兵站の輸送からがわりと戦争のネタで話題になるけど、よく考えれば、その製法だって戦争のイノベーションなわけで。生→ビン、ビン→缶、缶→レトルト、と軍隊の行動範囲を着実に増やしてますし。原材料ベースでも、脚気になりがちな穀物だけではなく、ジャガイモなんかも大事な役割を果たします。そういう意味では、今までと違う視点の軍記ものです。
純粋に楽しんで読了することをお勧めします。