早雲の軍配者
「なあに、ごくらくって?」
奈々が小首を傾げる。
「みんなが仲良く幸せに暮らせる土地のことだよ」
小太郎が言うと、
「じゃぁ、ここだ。兄ちゃんもばばさまもあずみ姉もいる。みんな仲良しで、奈々は幸せだもの」(上P.49)
しまった。また面白いシリーズに突き当たってしまった。他のエントリーでも書いているように榎本びいきなので、以前、同作者の「箱館売ります」を読んだときに非常に面白いと思って、その土方シリーズに嵌るまいとしていたのです。が、先日小田原出張のとき本屋で見付けて、違うシリーズであまり馴染みはないけど名前は聞く北条早雲の話題かと気にしていた同書を、なんとなく手にとって見たら、面白い。一気読みです。どうも、佐々木譲といい、榎本びいき(海舟びいきではなく)の内容を書く人の本は性に合うようです。
しかも、ちゃんと続刊の信玄の軍配者と謙信の軍配者にちゃんとつながるのが読めてしまう、この意地の悪さ。また時間が奪われる。出張の移動中に読書を限定せねば。
ともあれ、この小太郎は実に良い子ですな。実は続刊でも活躍します。はい。