螺鈿迷宮

「大切なのは比率、割合だよ。光と影を黄金率に混ぜる。それこそ人生の秘訣さ。その調合をできるのは、真の闇を知るもののみ」(下P.189)

うーん。海堂作品は基本的にTVや映画ではなく、原作を読むべきだなと思う。
そしてかなりたちが悪く、全作品が関連付いていて、面白いがゆえに全作品を読もうとしてしまい、貴重な時間(ブックオフ等のお世話にならなければ金銭も)が奪われるという代物である。この手の紐付けではめられたのは、中高生の頃に食らった佐々木丸美さんの一連の小説とかでしょうかね。
本作品は、いわゆるバチスタシリーズの舞台になる東城大学ではなく、そのシリーズの作品中のせりふでちょこちょこ言の葉に上る翡翠院桜宮病院が舞台。死因不明社会のテーマで何作もあるけど、これが一番そのテーマにまっすぐなんじゃないかな。読み手の楽しみは奪う気はないので、ぜひ、私と同じく時間とお金を奪われてください。

「病院で大切なのは経営ではない。診療じゃ。経営なんぞはジジィが片手間にやればちょうどいい」(上P.120)