敗軍の将、輝く 榎本武揚"生きざま"の検証

「朧夜や 誰をあるじと言問わむ 鍋焼きうどん おでん熱燗」(P.324)

晩年の武揚が読んだ句。ってか洒落だよね。こういうところが魅力的な人物です。

 榎本武揚について関心をもってから久しい。榎本武揚の歴史的再評価が必要ではないか。
 そういう視点から、いつかは榎本について自分なりにまとめてみたいと思っていた。必ずしも真実を伝えていないのが歴史なのだ。
(P.15)

と著者も書いているように、ちょっと調べると実に魅力的な人物。僕も別のところで、短編小説に仕立てたことがある(うきうきして候-蝦夷地開墾事始異聞-)。当然シリアスな函館戦争じゃなくて戦後ね。実は壊す事はわりと不向きで、新しく作ることに才能があった人なんだろうな。何はともあれ、明治以降の日本を思えば、生きてて良かった人であります。