そして世界に不確定性がもたらされた
「私にはきみがやっている類の物理学が性に合わなくてね」とアインシュタインはハイゼンベルクに語った。「首尾一貫しているところはあるが、好きじゃないんだよ」(P.253)
以前、量子力学の巨人についての二冊の本を読んだときに、ボーア&アインシュタイン、シュレディンガーと来てハイゼンベルクが何でないんだ。そのうち出るのかなと思っていたら、先日、本屋で発見した一冊。何のことはない、2007年にそれらに先駆けて、すでに出ていたというオチでした。
うっかり不勉強です。
量子力学の定式化で、最もはじめに完璧なものを提示したものの余りになじみのない書式で受けなかったハイゼンベルクの行列力学と、みんなが分かりやすい描像を描けるっぽいシュレディンガーの波動力学との攻防からディラックの完成系への流れも良くわかる一冊。
まぁ、皆さんの間では、不確定性原理の方がなじみがあるのでしょうが、この攻防が量子力学の体型と世界観の攻防の一大ストーリーなわけです。ある意味、EPRを使ったボーアVSアインシュタインより面白かったりします。
ともあれ、一読完了して一段落した気分です。