零戦 設計者が語る傑作機の誕生
政治および軍事指導者にも技術に対する理解と数字に関する観念が低かった。(P.621)
残念ながら、戦後もここんところは一切変わっておりません。
数字分からない方がいい人で、そんな理屈をこねるやつはダメなやつだという風土は払拭できていないようです。でも、明治の元勲はみんなわりと数字強かったよね。先天的ってわけでもなさそう。
今度のジブリ映画に引っ掛けて売ってましたが、かなりハードな本です。
勝つためにはすべてを犠牲にしてもよいが、勝てないものならばせめて技術の筋を明朗に貫いておくことが、後世に対する技術者の義務である。(P.502)
こういうマインドに彩られた実に読み応えのある本です。それにしても、
わが国が全金属飛行機を作ったのはアメリカよりも早かった。(P.45)
というのは驚きで、アメリカは開戦とともに率直に零戦の優位を認め、零戦から制空権を奪う新しい戦闘機と、日本国内の生産活動にとどめを刺す戦略爆撃機の完成に開発力を集中し(P.623)たことで、ようやく勝ったわけですから、なるほど戦後、航空機産業を禁じたわけです。すごい国に実は住んでいるということを実感できます。