箱館売ります

「死にたい者には、死にたい理由があるわけだし、生きたい者には生きたい理由がある。それは、どっちが勇気があるとか、どっちが臆病だとか、そんなこととは違うと思う」(上P.322)

そうなんだよね。どんな組織も究極的には呉越同舟。でも、その幅を認めながら目的達成を目指すべきで。
榎本武明が函館篭城戦の際に、ロシアに日本の領土の一部を売っちゃったガルトネル事件が下書きに出来ている、なかなか痛快な歴史小説です。
個人的にはこのあたりの北海道の立ち上がり期の出来事には関心があるので、そういう知的好奇心を満たしつつ、楽しい小説として楽しめた一冊でした。

(まぁ、いい。この人についていけば、死に場所くらいは見付けてくれそうだ)(上P.303)

「ぼんやりしてると百姓としての地金が出ちまうからな」(下P.175)