贈与論 (ちくま学芸文庫)

人を労働に向かわせる一番の方法は、自分たちのためと同時に他人のために誠実に果たした労働によって生涯、公正に賃金が支払われると確信させることだと人々は気づいている。自分たちは生産した以上のもの、もしくは労働時間以上のものを交換している。そして、時間であったり命であったり自分自身の何らかを与えていると生産者=交換者は改めて感じている。(P.281)

久々の学術書の読書。贈与経済に最近関心があるので、やはりここは一つその手の原著に触れねばと思っていたら、丁度、文庫になったいたのでひとつ頑張って読んでみました。
でも、最近のざわついた心で一回通読したぐらいじゃわからんですね。まぁ、「贈与の歴史学」でも未消化なので、その程度の脳みそなのかもしれませんけど。
一度しっかり誰か関心のある人と学習会でもしたいところです。ということで、学習会メンバー募集ってことで。

送られた物に潜むどんな力が、受け取った人にその返礼をさせるのかという問題である。(P.14)

他人の性質や身体の一部をその人に返さねばならないということが明瞭に論理的に理解される。(P.37)

「厳密に言えば、われわれが用いる意味での貸すと借りるという区別を彼ら(ニューギニアのトアリピ族とナマウ族)は知らなかったが、借りた場合にはお礼の形で何かを贈り、しかも借りを返す時にそれを戻した」(P.92)

元来、物そのものが人格と力を持つとされていたことは明らかである。(P.196)