暴走する地方自治

地方議会が実力をつけ、政策や条例をもっと提案できるよう議員一人ひとりの研鑽も不可欠となっている。いわゆる地方の名望家が議会を牛耳る時代はもう終わらなければならない。(P.215)

と、おもいます。地方自治の現場の隅っこにいると。
この本自体は最近のいろんな話題の首長を批判している一冊。批判そのものはそんなに興味がない感じだったんだけど、海外の地方自治の実態と言うのが実に興味深くて

アメリカには基礎自治体である市町村にもタウンシップにも一切属さない地域(ただしカウンティには属する)が多数見られ、日本のように全ての地域が都道府県にも市町村にも属しているのとは根本的に異なる(P.164)

みたい名地方自治の空白があるようなところもあれば、

成人で見れば100人に1人は地方政治家ということになる。(P.171、フランス)

みんな政治家みたいな世界になりそうな国まで、いろいろ、日本の地方自治のありようだけでは測れない、多彩な自治の姿は実に興味深く読めました。
あと、ふつうに、へーって思ったのが

地方で実施される仕事のうち、国の仕事は国の出先機関が直接執行し、地方自治体は地方自らの仕事だけを行うのが分離型であり、地方自治体が国の仕事も含めて多くの仕事を担うのが融合型である。(P.169、分権・集権以外の軸)

という、分離型融合型での議論。見る価値はあるかな。
いろんな批判が繰り広げられているのですが、この辺はウンウンとうなづいてしまった。

数百万の国費によって留学しておきながら、それを国に還元することもほとんどなく民間に転身しておいて脱藩とは、幕末の脱藩浪士に対して失礼ではないだろうか。(P.198)

単に教育委員会の既得権益を守るとか、とにもかくにも主張が全部掌握しなければいけないといった視点ではなく、教育とはどうあるべきかという原点に立ち返った議論が冷静に行われることが切に望まれるのである。(P.195)

ま、後半半分だけは買った価値はあるなぁという気分の一冊でした。

財力のあるところのほうが独立志向があるというのは、どうも名古屋などと共通しているようだ。(P.159)

制度改正に注ぐエネルギーを、もっと、地域を元気にしようとするさまざまな取り組み注ぎ込んだ方が、はるかに住民に実感のできる成果が上がると考えている。(P.221)

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