「大人になりきれない人」の心理
今日一日をきちんと生きる、ということが出発点である。今日一日をきちんと生きられない人はダメ。今日一日をきちんと生きているうちに、やがて自分の才能に気がつき、効果的な才能の使い方も分かってくる。(P.153)
実に身近な人にそういう感じの人が少なくない気がするので、何となく買ってみた本。変な話、当たっている人もいれば、当たっていない人もいるような気がする。著者は、そういう当たっている人を、五歳児の大人と称している。で、どんな人かと言うと
多くの日本人の親は五歳児の大人である。日本の親は我慢ばかりしている人が、アメリカに比べて多い。だからわがままな子供を許さない。子どもにやさしくなれない。/それ以外の親は、自信がないから子どもを放任してしまう。(P.25)
五歳児の大人は、自分の意思でしたいことをしていない。誰かに言われてしたとか、憎しみからしたとか、意地でやったということはあっても、素直な自分の意思でしたいことをしていない。(P.30)
五歳児の親は、自分一人が生きていくのに精一杯なのである。自分の心の葛藤を解決できないまま、必死で生きている。人の世話どころではない。それなのに、子どもの世話をしなければならない。(P.66)
五歳児の大人は、社会に貢献することが辛い。損したような気持ちになる。自分が得するということの感情はものすごく強いからである。(P.204)
こんな感じの人びと。俺も当てはまるなぁとか思う。多分こういうことで、きっと下流志向に近い話なんだと思う。
心理的に健康な大人は、何事も興味から入って、満足して、それらを卒業してきた人々である。しかし、五歳児の大人は、すべてを我慢して生きてきた人たちである。(P.6)
こういう人にとっては、生きることは悩むことなのである。何か行動するたびに悩みが増えている。何かを買えば、お金がなくなったことを嘆くし、買わなければ、その品物がないことを嘆く。(P.95)
「人のために働きなさい」と言われ、それを強制されたら、ある人々には地獄だけれども、別の人には自然である、ということもある。(P.131)
心理的に成長して、その結果として社会に適応しているのと、心理的に成長していないのに、無理に社会に適応しているのとでは、全く違う。(P.4)
この人たち(メディアに出てくる評論家)は、彼らが社会復帰する場所をまず用意しろ、と言うのである。そのようなものがあっても、彼らはそのような場所には簡単には戻っては来ない。もともと普通に生活できるなら、おかしな宗教団体のようなところには行かない。(P.105)
五歳児の求める愛と、大人の求める愛は違う。(P.58)
「母なるものへの願望」を満たされていない人間は、所かまわず愛を求める。リーダーには最も不向きである。人からチヤホヤされたい人は、人を引っ張っていくことはできない。部下の教育もできない。学生の教育も、子どもの教育もできない。(P.148)
こんな所なんだろう。例えば少子化なんかも
男たちが、クラブで女の顔を見ながら酒を飲むことに使うお金が馬鹿らしいと感じるようになった時に、少子化の問題は解決する。女たちがエステに行くことに使うお金が馬鹿らしいと感じるようになった時に、少子化の問題は解決する。それよりも、子どもの喜ぶことにお金を使うことがうれしいと感じるようになった時に、少子化の問題は解決する。(P.165)
今の親は、本当は心理的な負担に耐えられないのに、それを経済的負担が耐えられないと嘘をついている。自分にも他人にも嘘をついている。経済的問題が大きすぎるからではなく、子どもがそこまで好きでなくなったということが問題なのである。(P.167)
という風に見れるわけだ。5歳児の大人の心象風景は
小さい頃に、お金を持たされないで買い物に行かされるようなものである。買ってこいと言われたものをお店でとったら、お金を要求された。しかしお金は親からもらっていない。/言われたものを買って帰らなければ、親に怒られる。お金を渡さなければ、お店から怒られる。それが五歳児の父親のジレンマである。(P.142)
で、外面的な状況としては
おなかがすいておにぎりを食べたがっている少年が、立派な服を着て馬車に乗っている。(P.134)
こんな感じ。じゃぁどうすればいいのかと言うと、多分こんな感じなんだろう。
将たる器とは、感情的、心理的にどんなに辛くても憎しみを乗り越えられる人である。「許せない」という感情を乗り越えられる人である。将たる器とは、憎しみを乗り越えられる人である。(P.39)
トラブルは、決してあなたの価値を下げるものではない。(P.88)
おなかがすいておにぎりを食べたがっている少年が、立派な服を着て馬車に乗っている。(P.134)
人の幸せは絶対に財産や名誉ではない。人の幸せの原点は、情緒的に成熟した親を持つことである。(P.140)
お金のあるなしは、今の時代では人の幸せとほとんど関係なくなった。(P.163)
「孤独は商業主義のカモである」(P.171、ダン・カイリーの言葉)
まず第一に、孤独を覚悟することである。周囲の人から好意を期待しないことである。周囲の人の好意を期待して何かをしないことである。(P.172)
生きるか死ぬかの時に決断できることを人間の自由と言う。あなたが決められる。(P.226)
どんだけあがいたって、他人のせいにしたって、自分の運命は自分が引き受けるより他に仕方がない(P.223)んだから。
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