有法子(再読)

「最後までお世話をしなければ、何もしないのと同じ事です。」(P.320、実子による解説)

そういう心持で、仕事でも何でも人とのかかわりのあることは頑張ろう。2年前に読んだものの再読です。ご本人に思い出話もさることながら、解説に出てくる、この夫人のほうがなるほどと思えるわけです。

騙される母が、馬鹿に見えて我慢ならなかった。母は黙っていたが、しばらくしてこう呟いた。「あなたは、本当に困ったことがないからねえ。」(P.311、実子による解説)

で、おいらは不遇な時期があるわけじゃないので、以下は分からんけど、そういうものなんだろうなと思う。

不遇な時の妻の信頼は、叱咤激励に勝るものであろう。(P.322、実子による解説)

あとは、自治精神みたいな話で、

「街の治安は当然市民が自ら守らねばならない」(P.45、マシュー博士、アメリカ留学中)

とかく法は守られぬもの、殊に実生活に関係することなどは、やかましくいわれても実行できるものでないのが日本では普通ですのに、かれらは国を守ることは自分達の責任であると思いこんでいるらしく、国家の大事にのぞんでは誰にいわれなくとも自戒自省して耐乏の生活に甘んじている(P.46)

個性が生かされないで、押し潰されてしまうところに、民主主義の健全なる発達は望まれないのではないでしょうかね。(P.257)

加えて、今NPOに絡んで、公的施設のセンター長をやっているものとしては

社会事業というのは、万人に適当な職場を提供することが第一義である(P.213)

一般世間の人々が、公人に対して理解といたわりの心をもって接してやらねば、可哀相だとしみじみ思ったことでした。(P.292)

こういう、公への考えは、この2年の自分の学びの中で、気になるように感じたんでしょうね。あとは、中国進出の話。

「もし一年たち、二年たっても中国人の友人ができぬようなものは、本社に必要ない人であるから退職してもらうだろう」(P.139、興中公司設立の訓示)

中国人の考え方は、すべては人間である、人間が事業をし、外交をするのだ、人間関係を研究することが、基本であるとしているのであります。(P.177)

ちょっと気になったところ。種田君っていい人だよね。

種田君は毎月末、月給袋を持ってきて、「半分やる」といっておいていってくれました。(P.31、筆者が冤罪で浪人になってしまったとき)

はじめの夫人の姿勢に通じる友人ですよね。個人的に、十河氏本人のようになりたいと思うより、種田氏や夫人のように生きて生きたい気もします。

歴史は尊重されなければなりませんが、若さを失っては人も国も衰亡するようになります。(P.261)

「これをなし得るものは広田弘毅か十河信二の他にない」(P.132)

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