第2版 リーダーシップ論

成功者と言われるマネジャーはこれをわきまえ、依存している相手と心の友情を築こうとすることが多い。また、公式非公式問わず、上手に駆け引きをしつつ譲歩し、先々のことも考えて恩義を売っておく人もいる。(P.150)

僕は個人事業主ですけど、基本的にはそういうことを志向しています。
あ、一応、大雪経営塾の課題図書です。
なんと言うか人間論というか社会論というか。まぁ、そりゃそうだわなと思うこと多数で。

変革というテーマの重要性はこれからも高まり続けるのだから、マネジメントとリーダーシップの混同を解消することは大切である。(P.30)

たぶん、この著者はマネージという業務の中にリーダーシップは一緒くたにしちゃいけないという立場で、ドラッガーはどんな理屈こねたって経営者にはそのニ要素が要求されるんだから、両方一緒に論じようよって感じかな。
でも、実は前提が少し違っていて、この著者が論じているのは、組織内のリーダーというかマネージャーというか、上司というかそういう人々のことであって、

リーダーシップを重んじる企業文化を根づかせることが、リーダーシップの究極の使命なのである。(P.63)

経営陣がすくみ上がってしまうのは、たいていの場合、その多くは「管理者」であり、「指導者」と呼べる人材ではないことに起因している。(P.81)

理屈の上では、部下や上司、他部門の同僚たちはもれなく期待通りに動いてくれるはずだが、現実は違う。当てにしている人たちの時間やエネルギー、能力は限られており、しかもそれを求めているのはマネジャーだけではないからだ。(P.142)

あたりの記述がまさにそれを感じさせる。なるほど、組織内の自立的な人間という話なら、リーダーシップは、それはひとつ独立していてもよいスキルと思う。読んでいて、プロフェッショナルサラリーマンを感じさせる。ただ、経営者は両方できなきゃいけないということから、基本的には逃れられないと思う。

でも、社会のほうは、こういうことに関しては無頓着。そこは著者の言うとおり。

多くの人々は、変化の少ない安定した世界を前提にした教育を受け、育ってきている。そのような世界はもはや存在しないはずなのに、である。(P.17)

医師やスポーツ選手が尊敬に値する職業で、企業経営者は逆、といったことを学校で教えることが、はたして社会にとってプラスになるのかは考える必要があるだろう。(P.38)

で、リーダーシップに必要なことって何って言うと、まずは人のつながりをどんだけ大事にできるか

命令する仕事の重要性は低下している。むしろ、人脈で結ばれた人たちと良好な仕事関係を築くことの重要性が高まっている。(P.26)

他者への依存関係を上手に利用しているマネジャーは、他者に依存している自分を十分認識し、不必要な依存関係は排除するか避け、行使できる権力を確立している。(P.146)

自分の業績への責任を負うのは最終的に自分であると考えているため、自分が依存している人たちともれなく良好な関係を築き、それを管理しなければならないことを承知している。(P.199)

ってこと。結局は、改革でも抵抗でもやるのは人間なんだから。自分も、某センターでは派手にいろいろ試みてますが、

思いつく限りのコミュニケーション手段を利用すること、それもさして重要視されていなかった情報メディアを活性化させることである。(P.91)

課題づくりにはたえず質問することで人脈から情報が引き出すことも含まれている。それゆえ、ビジネス・リーダーたちはよく質問する(P.220)

理想的な組織のトップは、あらゆる変革とリーダーシップに対応するために、マネジメントの権限を下のレベルに委譲している。(P.33)

実際には、有能といわれる人たちは、弾丸のように言葉を浴びせかけたりはしません。相手に敬意を払い、しかも単純明快で常識的に対応をします。(P.246)

あたりはなるほどと思います。ま、リーダーとしては合格とは思ってませんけど。

社内で高く評価されているマネジャーは、周囲の人たちに大きな権力を持っているが、その源泉はけっして一つではない。何かを命じたり、頼んだりすることはめったにない。(P.162)

業界の万年弱小企業が、いきなり「業界ナンバーワン」を目指すと言い出したところで、それは単なる絵空事であって、ビジョンではない。(P.50)

この辺は、頼みごとばかりですし、業界ナンバーワンとか無根拠にいってますしね。
でも、

リーダーシップのカギはスタイルではなく、中身にある。(P.6)

リーダーシップの役割は、変化に対処することである。(P.45)

リーダーシップでは、ビジョンを達成するために、動機づけ、鼓舞する人間の欲求や価値観、感性など、根源的だがあまり表面に浮かび上がってこない要素に訴えかけることで、変革を阻む大きな障害があろうと、皆を正しい方向へ導き続ける。(P.47)

というのは、少し意識してみましょう。でもね、僕は所詮コンサルでヨソモンですから。

我々のような社外の人間は、しょせんは門外漢なのです。(P.264)