日本国憲法の二〇〇日

「たとえ連合国が天皇統治を認めてきても、人民が離反したのではしようがない。人民の自由意志によって決めてもらっても少しも差支えないと思う」(P.42、木戸内大臣の奏上に対し天皇)

意外と、皇族って頭いいんだろうなと思う。それは血筋ってより、学びのための環境や、つながっている人がそういう環境下の人々なんだろうし。
本書は、戦後日本国憲法が制定されるまでを、著者のその時代体験と、細かな取材を通じて出来ている憲法制定までの道のりを重ね合わせて記された一冊。
始めとっつきにくい感じだけど、リズムがつくとすいすい読める。
それにしても面白いエピソードを丁寧に拾ってあって

「戦に敗けた以上はキッパリと潔く軍をして有終の美をなさしめて、軍備を撤廃した上、今度は世界の輿論に、吾こそは平和の先進国である位の誇りを以って対したい」(P.67、石原莞爾)

なんかは、憲法原案一つない中でこんなことを石原莞爾が言っていたというのはちょっと驚き。
まぁ、人それぞれ感じとるところは多様な一冊なんだろうなと思う。また、時間をおいて再読したい一冊。

「あなたが日本人の心を真剣につかもうと思っておられるのなら、まずこの深刻な食糧難の現状を打開するため、食料の放出を是非おすすめする」(P.87、ホテルニューグランド会長がマッカーサーに)

「私は、今だってここの娘を何人もカタギにして、何人も何人も世間へ送り出してやったわよ。それがみんな、いじめられ、追い立てられて、またこのガード下に戻ってくるじゃないの。世間なんて、いい加減、私たちを馬鹿にしきってるのよ」(P.259、NHK街頭録音でお時さん)

「自分は象徴でいいと思う」(P.341、天皇)

「馬鹿か、お前は。人類が存するかぎり、戦争が亡くなるはずはない。そのためには人間がみんな神様にならなきゃならん」(P.356、著者の父が著者に)

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