指揮官たちの特攻
「俺たちは、ただ黙って戦い、黙って死ねばよい。後のことは国家国民が知っている」(P.18、高橋少佐)
こうまでして国という形を守ってくれた過去の日本人たいして、「おう、いい国を作るために鋭意努力してるよ」と胸を張って答えることができるのかと問われると、かなりつらい。誰かのせいにして、騒ぎ散らして、何もしない。こんな威張れない生活をしているように思えて反省してしまう。
この現代の民主主義国家で、国家への滅私奉公なんていうのは原則ないんだろうけど、よい集団足ろうという努力はすべきなんだと思う。とくに、科学技術立国とか言うんだから、
「報国の道はいろいろあります。課題の研究をりっぱにやる。それは、あなただからできることです」(P.124)
という知識人はたくさんいるはずです。でもそれすら、目先の金の議論で仕分けなどとほざいて認めない風潮があるのはなんとも悲しい限りです。
当然、特攻も戦争も礼賛する気はありません。小さな結婚という小市民的な幸せも大事です。だから、これはそのとおりだと思います。
「ぼくは天皇陛下とか、日本国民のためとかで行くんじゃない。最愛のKA(家内)のために行くんだ」(P.53、関大尉)
「たとえ短く終わろうとも、結婚という人生の幸福を、少しでも味わわせてやるべきだ」(P.69)
でも、死んだ人は生き返らないとはいえ、その人たちがよくしようと、命を懸けたものまで、その小市民的発想で台無しにしていいとも思えません。命は大事。大前提だけど、国というつながりで生まれた以上、それを良くする努力はしないといけないと思う。
「そんなことは無いと、わかってるんだけど、それでも何年かかかって帰ってくる気がするの」(P.214、藤井大尉の母)
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