CSR入門―「企業の社会的責任」とは何か

CSRのCはCitizen(市民)でありConsumer(消費者)であると考えるべきです。(中略)地球上で生きていくからには企業にも市民にも消費者にも、一人ひとりに責任があると考えるべきことではないでしょうか。(P.199)

以前、何の気なしに友人のBLOGを読んで、こんなことを書き込んだ記憶があるが、何のことはない、以前に読んだこの本に書いてあったことを書いただけだった。要は読んだことを忘れていたのだ。
これは非常に示唆的で、実は、市民がいるだけで、労働者も経営者も消費者も市民の一側面に過ぎないということに気がつけば、みな節度ある市民に自然となるはずなのだ。それがヒューマニングという考え方の根本にある。

消費者の真のニーズを無視して大量購買をあおる(P.185)最近の企業という謎の法人組織からみれば、企業市民の意思決定賢者が社長である以上

「これは僕の仕事やないか。僕がせなあかんこっちゃ」(P.158:中村パナソニック社長談)

というトップの姿勢は間違いなく必要だ。と、同時に、個人であれ企業であれ、良し悪しに対して「赤信号みんなでわたれば怖くない」では困るので、当然のようになにがCSRの本質か、わが社にとって何が必要か、哲学の部分をじっくり考えてもらいたい(P.176)ものではある。

とはいえ、フードマイルや仮想水の議論などから考えると

再度鎖国化して文化や技術の移転は許しても、物質の移転を拒む「物質鎖国」という対処も、あながち荒唐無稽な発想として捨て置くべきではないかもしれません(P.34)

という過激な対処もいるのかもしれない。どのみち、企業がなんかしてくれるという姿勢ではなく、まずは私たち自身の意識として、CSRを持たねばならないということなのだ。