日本の半導体40年―ハイテク技術開発の体験から
こういうところが、研究の一番わくわくする段階なのだ。不可解な現象。手品の種さがし。パズルの謎解き。一つだけ手品やパズルと違うところは、世界中で、答えを知っている人はまだ一人もいない、という点なのである。(P.141)
この方、あったことあるんだよね。名刺あるし。でも、そのとき、この本のことはすっかり忘れてた。
案外面白い技術者列伝的読み物。前半の、トランジスタあたりやら、原理説明やら案外うざいけど、後半のCCDのストーリーは何度見ても面白い。やっぱり実体験を元にしたお話だけある。ぐいぐいと引き込まれるように読んだ。
「やると決まったら、早くやってよ。」(P.148、井深大)
意見を述べたり、評論をすることと、「やる」か「やらないか」二つに一つの決定をすることとの間に、天地の隔たりがある(P.178)
研究のディレクターである著者の視点で話は進む。内容はぜひ読んでいただきたい。ともあれ、世の中の必要なものってのは
「時間がかかるけれど、必ず最後に出来ることになっている」(P.188)
という気分にはなった。