現代童話〈2〉
ずっとげんきで、りっぱなにんげんになってください。そしてもしできれば、ちょっぴりでもぼくのことをおぼえていてくれないでしょうか。(P.160、木馬がのった白い船、木馬の手紙)
子どもにかかわる仕事をする大人みんなの気持ちなんじゃないでしょうか。
福武書店(現ベネッセ)の出した童話集。この童話集は非常にいい選定で出来ている。が、正直、この会社の子どもに対するスタンスややり方には賛同できない。特にあの、名簿業者から一律で買って送りつける、しまじろうスパムは勘弁して欲しい。内容といい、あんなやり口といい、そんなものでどんなきれいごとを語られても説得力はない。
「まあ、そんなにぷんぷんしないで、たまにひとつぐらい、こんなことがあってもいいじゃありませんか」(P.164、木馬がのった白い船、手紙掲載の苦情に対し新聞社の人)
という気になるのかもしれない。でも、そんなことをするせいで
要するに現代日本人は小ガネをやりくりして自転車操業をしつつ、貴重な人生を、/「カネ、カネ、カネ......」/と苦しめられつつ死んでいくのだ。(P.316、子供地獄)
こんな子ども地獄の一翼をしっかり担っているわけだし、ちったぁ、自分で編纂した本を自分で読み返してもらいたいもんだ。で、冷静に、自分のやっていることを見直してみてもらいたい。
そんなこんなで、出版社批判をしてしまったけど、この第2週に関しては、結構大人が読んで考えさせられる小編が多い。
オトナは誰も彼も、子供たちに目配りをとどかせ、子供と小銭の関係には神経質であった。(P.326、子供地獄)
月まで出かけていって、国旗をたててくる習慣だけはやめたほうがいいような気がしてならない。それでは、せっかくの月が、お子様ランチに似てくるではないか。(P.360、ランチとお子様ランチ ほか)
一度読んで子どもとのかかわりを再考するには最適かと。ま、読みきってまた大人自身もこう思うべし。
本を閉じるとき、わたしは/人生を開くのだ(P.368、絵本のこと、パブロ・ネルーダ)