100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影
「私は身に沁みて知っています。最初に何かを考え出すとき、そこには孤独がつきものなのです」(P.170、サーストン博士)
トポロジーを対象に数学基礎論を専攻した学校法人の理事長がいらっしゃったなぁ。そういえば。読んだのかな?ご紹介したい一冊。
学問体系のマイノリティぐあいで行けば、僕らの量子力学を対象にした科学基礎論なんかもいい勝負なので、その辺をどうこう言う気はないですが、この一冊は面白い。先日紹介した量子革命系の書籍と比しても負けた気がします。この手のは、しょせん翻訳ものしかなくて、その翻訳の質で決まるんだろうなと思っていましたが、これは古巣のお仕事とみて驚愕。渋谷区神南の方を向いて謝ります。
そんなに高価でもなく分厚くもないので、ぜひ気軽に手にとって読んでみてください。学者の生き様ってのがわかって楽しいですよ。
「家族がもし、『お父さんの研究は人類史上とても重要なことなんだ』などと言っていたら、最悪だったかもしれません。家族は本気で私を、日常の世界へと引き戻してくれたのです」(P.103、家族が「ポアンカレ病」と揶揄したことについて、ハーケン博士曰く)