はげたかファンドって本当に輸入品?

今朝、友人からのメールでこの番組面白そうだよ、ということで経済ドラマの「ハゲタカ」というのを紹介していただいた。

ドラマがどうこうというわけじゃなくて、ふと思ったのは、ハゲタカファンドは本当に欧米オリジナルで輸入品なのか、ということ。
ハゲタカファンドの定義ってのを軽くしてみると

 1.振るわない会社の株を安く購入して、所有権を取る。
 2.なりふり構わず、会社の価値を向上させて株価を上げる。
 3.高値で会社の株を売り抜けて利鞘を稼ぐ。

ということをやるやからの事を指すのだろうなと。
この定義に沿って言えば、国内の金融機関でも企業再生ファンドの類はこういうことをやっている。でも、往々にしてこのビジネスモデルは外国から来て、企業再生ファンドはそれをまねしているだけなので、ハゲタカファンドそれ自体は欧米のものという風に言われる。しかも新行為のようにいわれがちである。
で、メディアに登場するときは大方悪者として紹介されるわけだ。

でも、色々な歴史を紐解くと、必ずしもそうではないことが分る。
河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)という江戸時代幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者が居た。この人は、1816年生、1893年没である。この人の父、勘兵衛という人は、銭湯営業権の株(湯株)で、まさにハゲタカファンドと同じことをしていた。
「風呂と湯の話(武田勝蔵著:塙新書)」によると(イタリック体は同書p125引用)

   勘兵衛は
 1.江戸府内の衰微した湯屋の株を安く引き受けて、
 2.その湯屋を改良・経営し、
 3.その繁盛の頃を見計らって、これを希望者に転売してその利鞘を得る
   という、格別の商才の持ち主であった

ということで、これは誰がどう読んでも、日本におけるハゲタカファンドそのものということになる。たしかに、現代の株と、この頃の株は色々と意味合いは違うが、企業体の所有権を示すものを安く買い、価値をあげる努力をして、高く売り抜けるということは一緒。
ならば、こんなロクでもないハゲタカファンドはよほどお江戸の嫌われ者かと思いきや、この逸話の大本の「人物業書」というのでは、勘兵衛は「真面目な賢い人」となっているらしい。
まぁ、こう調べてみると、ハゲタカファンドそのものは外来種でもなんでもないし、おまけに日本人でも普通な代物だったわけで、しかも、賞賛される価値のある業務ということだ。

少なくとも
  ハゲタカファンド=外資=日本経済を食い物にする悪
という短絡的な認識は改めたほうが良さそうである。