ばっかじゃねぇの?
あんまり詳細を書くと各方面にたいして棘が立つので、詳細には書かないけど、某基礎自治体が、緊急雇用創出推進事業の金を使って中小企業IT化サポート事業ってのをはじめたんだけど、内容読んで、僕の感想は一言だけ。「ばっかじゃねぇの」なんだな。
で、さらに10分考えて出てきた言葉が「ITビジネスなめんじゃねぇよ」というところでしょうか。
趣旨としては
スキルやコスト等の関係でIT化の取り組みが遅れている市内中小企業者に対し,Webの開設等をサポートし,当該中小企業者の販路開拓や営業力強化を支援することを目的とする。
というありがちな話なんだけどさ、失業者にそんな支援をさせるという時点でITビジネスをなるんじゃねぇよって感じ(緊急雇用対策である以上、そうなる)。まっとうな一流のITコンサルタントといわれる人だって、勝ち組になるITビジネスモデルを今の時代組み立てるのは難しいのに、スキルが無い人間の練習台にされる一般企業の事業をお前らなんだと思ってるんだ、という気分。そういうスキルのある失業者もいるだろうけど、そんなのむちゃくちゃ限定されているし、そんな田舎の自治体にいる可能性はかなり低い。
ホームページ作れば売れるなんていう甘っちょろい話じゃない。むしろグローバル市場の競争にさらされる瞬間でもあるので、Webに進出したがせいで過当競争にさらされる可能性だって少なくない。そういうこともちゃんと勉強して政策組んだんだろうな。
で、他方で
被サポート者の要望を正確に聴取し,適切な提案を行うこと。また,被サポート者の販路開拓や営業力強化に効果的なWeb制作に努めること。
とか書いてるけど、それも失業者の雇用でやるんだろ?ということは企業社会の競争で失業してしまった側のセンスでこういうことを構築するわけだ。書きにくいけど、そこで売れるセンスをもっている人材なら失業はしなか、失業してもこんな無意味なはした金のおこぼれをもらわなくとも食っていける。かなり特殊な場合にそういうスキルがあってその田舎で食っていけない奴がいるかもしれないけど、大体ネットで物を売り込むスキルがあれば、自分をネットで売り込むスキルがあるので、基本的にすぐ食えるようになっていて対象となる失業者ではないはず。そういうことを考えると負け組みに負け組みWebを無理やり提供するという話だ。税金で馬鹿なことをするなといいたい。
おまけに
安価でかつ操作方法が比較的簡易な「ホームページビルダー」(IBM 社製)またはこれと同等の市販パッケージソフトを使用すること。
などと書いている時点で、なんらWebのビジネスのトレンドを理解していないということがよくわかる。ちなみに、一般の仕様のほうには
本サポートを希望する中小企業者(以下「被サポート者」という。)からの依頼を受け,ホームページを作成する。ただし,構成は必要最小限のものとし,以下のページ数を上限とする。
とか書いているわけだ。HTMLのべた作りで勝てるのは、思いが伝わるものでしかない(近年だとエゾアムプリンとか最高)ので、ツール云々ではなくおまけに仲介事業者をかませず自分で作ったもののみだ。他方でシステマティックに勝つのには、SSSで自動生成しつつユーザー挙動を押さえるサイトとかページ概念を無視したものしかない。となると、こんな仕様でどうこうするほうが無理ってもんだ。
何がいちばん許せないって、こんなITビジネスのいろはの「い」の字でも知ってたら言い出さないような地方の愚策に日本全体の国税が使われるってこと。僕はこの地方に若干なりともかかわっているので、むーって微妙な気分だけど、そうじゃない人にしてみたら自分が納めた税の一部なのに完全に意味不明の支出。
ちょっとはまともなIT施策組めよ。
でも、こんだけ書けば、十分棘が立つぐらい詳細だわな(^^;