地域通貨という名の兌換紙幣の再考
何だかタイトルが大上段なのだけれど、内容は結構何の事はない、いま自分が運営委員をやっている地域SNS「あんみつ」のポイントについての話だったりする。
このポイント、サービスが立ち上がったときに何に交換できるかも定まっていないという、まさにいま国がやっているエコポイントのような素敵な状態だったりしたんだな。で、まぁ、今はサルビアスタンプという地元の商店街で使えるポイントシールに交換できるようになっている。それ以外も交換可能なメニューはあるのだけれど、さして魅力的な内容でなかったり交換レートがイマイチつりあわない感じがしたりする。
で、このポイントを地域通過のように流通させてはどうだろうと、思考実験(と若干の実践)を始めた段階でふと気がついた事がある。あらかじめ言っておくと、以前別のところでコラムを書いたように、基本的には地域通過は不用論者だし、なくても良いものではないかと思っている、というスタンスはそんなに変わらない。
ただ、うちの、あんみつポイントについていえば、このサルビアスタンプに交換可能というのが、結構ミソな気がしてきている。というのも、このサルビアスタンプというのは市民の間ではなぜだかわからないが結構真面目に集めている人が多いのだ。いわば地域の人にしか価値がないけれど、地域の人にとっては価値のあるものなのだ。このスタンプシートがある意味地域の中においてのみ地域の人が共通にコンセンサスを持つ価値そのものな訳だ。
ちょうど、その昔の紙幣が、金や銀という比較的人類共通の価値を持つものと交換できて、国際通貨として通用するようにしたように、実はこのサルビアスタンプを価値の基礎におくことで、安城市民に対してのみ、ある種の通貨として機能可能なのではないかと。
いわばこれこそが、地域の価値に裏づけされた、地域のための地域通貨の一つの形式なのではないかと。いわば地域通貨という名の新しい兌換紙幣の登場ともいえるのではないだろうか。
とはいえ、うかっとすると、インフレでも起こしそうな状況だし、まだ、通貨として何に対してこの「あんみつポイント」での支払いを発生させるのかということについても、何のコンセンサスも習慣も確立していない。この状況で、こうした事を書くのは、早すぎるかもしれないが、一つの思考実験ということで書き残しておくことにする。