高齢転職と茶器

古くからの友人に転職相談をされたときに、色々お話していて思った。

友人いわく
「友人(=友達の友達のこと)は転職に精力的で、バリバリ履歴書書いたり、求人情報誌見たりしてアプローチしているんですよ。30代過ぎでも凄いよね」
とのこと。
彼自身も転職を考えているらしく、こういう風にアプローチしんとだめかなぁと言うことでのお話だった。ちなみに、最近僕は転職活動をしていないけど、取り扱い上、数箇所に雇用されているし、僕と同年代の連中で転職したやつらを見ると、ほとんどが「企業(各種組織や社長)からの一本釣り」なのだ。
「求人情報誌を眺めた記憶なし」「かっこいい履歴書なんか書いた記憶なし」なのだ。転職先は向こうから近づいてくるし、履歴書なんか最後の最後に書類合わせで提出するくらい。

んじゃ、どうやってこういう人材が流通しているのかと言えば、思うに、人材という茶器が合って、この茶器の価値がわかる好事家のクループによって、すでに知られている中で流通している感じ。名器といわれる超一流茶器もあるけど、そうでなくても、日常的に使う少し枯れた茶器とかこの好事家グループ内では普通に価値が理解される一点物の茶器なわけだ。いわば、業界と言う茶道の流派のグループ内で、いい茶器って決まっていて、どっかのお茶会で供されたことのあるものを相互に欲する。で、その中で金額が決まって流通する感じ。

そう考えると、履歴書なんてパッケージやら、求人情報誌なんていう店舗リストも別になくても、ちゃんと金が動いて流通している。そういう茶器になってしまった人の転職は簡単だ。高齢転職のポイントは、パッケージ作り(=履歴書書き)でも、流通戦略(=求人情報誌やらヘッドハンティング会社を選ぶこと)でなさそうだ。今の仕事をどれだけ味わい深く、自分らしく形にしてきたかと言うことだ。すなわちちゃんと一点個性のある侘びた茶器になることだ。

そうすれば、所有権が切れれば、またその好事家の中で普通に流通できるし、場合によっては隣の好事家グループでも高く買ってくれることもある。35にもなれば実務経験は大方10年。マニュアルどおり型どおりの転職を今さらやる年齢でもない。自分の形を普通に見せて生きていくことです。