スカイマークのサービス・コンセプト

なんだか賛否極端な感じの評価が多いのですが(どんなものかがわかんない人は、ググっていただくか、この辺のBLOGでも)、個人的には賛成でも否定でもなく、むしろ、こんな企業であっても建前のきれいごとの「お客様は神様です」なんていう姿勢をかなぐり捨てて、ここまでの文章を書いてお客に配布するまでに、色々な意味で追いつめられた社会ってのは、悲しいなぁというのが、正直な感想です。

ヒューマニングなんて言うのを研究している立場なので、お客様は当たり前に神様ではなく一人の人間ですし、サービスを提供する会社の中の社員でもバイトでもなんでも、一人の人間でしかないわけです。お金を貰おうが貰うまいが、まずは、その人と人との対等な接し方は、お客だろうが客室乗務員だろうか社長だろうが、対等なわけです。
その範囲で、一方が他方を、おかしな論理(「客」なんだから何でもあり的な)で圧倒しようってのは良くないですし、多分そんなことが積み重なって、あんな文章を書いてしまったんだろうなぁと想像がつくわけです。

個人的に、働く人はこれを会社が明示してくれて、ずいぶん働きやすくなったんだろうなと思う。クレームにどこまで対応すればいいのかも分からず、自分が分かっていてもお客は分かっていないから納得しないで右往左往しながら、クレーム処理をする羽目になったりしてたんだろうな。たぶん、こう書いてくれれば、自分の能力外の接客はしなくても良くなっただろうし、本来業務に専念もできるようなったんだと思う。その空いた余力で安全な運行へのより一層の注力もできるんだろうと思う。
クレームは財産で、クレームに対応することで新しいサービスが生まれて業績が上がるってのは確かに本当。でもね、そんなクレームに耐えられない人だってたくさん世の中には働いているし、その人にはその人の働きようがあるもんだと思う。
市民活動センターは地域のあらゆるよしなしごとのご意見を頂かないと、そもそも問題発見ができないので、スタッフには申し訳ないですが、クレームはバリバリ受け付けています。でも、誰が受けても、まずはかなり凹みますけどね。
ちなみに、本当に建設的なクレームを言いたいなら、本部への電話で十分。そのほうが、むしろ真摯に取り上げて組織としてそのような事態が二度とないように対応もしてくれるもんだ。その方が冷静に、問題解決の手法を考えることが出しますし。変な話、相手も人間ですから、怒鳴りつけられてその相手に役立つことを進んで考えようという気にはそうはならないもんです。

きっと、日本中の会社や組織は「本当はうちもこれぐらい書きたい」って思ってると思う。そうしてあげることで、働き手が楽になって、よりいっそうの別のサービスに注力できて、総体としていいサービスに生まれ変わるなら、そうすべきだと思う。
でも、そんなの、お客だって自分へのサービスを提供してくれている相手を普通に人として最低限思いやっていてくれれば、あんな文章は書かなくてもいいし、本来そういう世の中じゃなかったっけ。「金払ったんだから何でもやれ」ではなくて「自分のためにサービスを提供してくれてありがとう」と思って生きていくことが大切なんだよね。たぶん。
そういう、お金じゃない人や世界とのつながりを意識できるかどうかが大事なのであって、お金なんてのは、その上で初めて役に立つし価値を持つし使えるもの。

そんなことを考えると、金の授受の前に相手も一人の人間なんだって思いやらない社会の発露がここまで来たんだなぁと思うと、悲しくなってくる出来事だなと。