ネットワークはハコモノの世界へ
なんか変なタイトルですけど、「IT政策なんて、ケーブル付けたりなんだりで、結局従来型のハコモノ行政とかわらんじゃん」って、お国をどうのこうのと批判しようというわけではないんです。
最近、ルータ内蔵ファイアウォールとか、1Uラックの大きさのメールサーバーとか、ハードとソフトとセッティングが一緒になった製品って、よく見かけますよね。こういうのをアプライアンス製品といって、最近では、こういう箱を買って来て、線を繋ぐだけでサービスの提供が出来ちゃうんです。
インターネットが始まった頃って、こういう専用機には批判的なムードがあって、ローコストなPCにいろいろ必要なものをインストールして使う、PCサーバなんかが流行ったりしました。クライアントの機器なんかもそうですよね。インターネット専用STB(セットトップボックス)なんかがまともに売れるようになってきたのは最近だし、i-modeなんかもある意味そういう代物ですよね。HTMLの規格が定まって何年も経ってではあるけれど、ようやく専用の箱がいっぱい出来てきたってことでしょう。
でも、サーバーサイドの処理って、まだまだクライアントに応じて開発してる部分が多いですよね。サーバー用のアプライアンスが普及してきてるのは、きっとネットの世界で人間がやることやれることってのが、明文化されてないけど固まってきた部分もあるんでしょうね。
言われて見れば、Javaなんか、てっきりアプレットで普及すると思っていたら、ちゃっかりサーバーサイドのプログラム言語としての地位を確保してるし、データベースも何だかんだ言って、RDBMSであれば問題のない状態になってきてるし、細かい技術をみても、少しづつ世の中標準化してきている。
こりゃ、ネットワークを構成する物が、どんどんハコモノになってもおかしくはないですよ、きっと。
いままでは、ソフトウェアを買って来ても結局使わなかったり、パソコン持ってないのにソフトだけ買っちゃう(ウィンドウズ95の騒ぎが懐かしい)なんていうことが起こる世界だったけど、これからは、電器屋さんいって、箱を買えばなんでも出来る時代なるんだろう。
~とある電気店にて~
店員「いらっしゃいませ。今日はなにをおもとめですか?」
客「うちも、オンラインショップを開こうと思ってさ」
店員「それでしたら、こちらのショップデッキがお勧めですよ」
客「ほう。でもちょっと形がねぇ」
店員「こちらは一番人気なんですけど。でしたら、こちらのデッキはどうでしょう?フォルムが個性的で一味違うショップをお求めの方には人気がありますよ」
客「じゃ、それを買おう。いくらだい?」
店員「ただいま、セール中でして2割引にさせて頂いております。あとですね、セキュリティ強化月間でして、こちらのファイアウォールデッキをセットでお求め頂くと、こんな値段になります。」
客「いいねぇ。取りつけ料はいくら?」
店員「取りつけ料は勉強させていただきますよ(笑)ところで、お客さん、デッキを繋ぐ線は足りてますか?線は申し訳ないですけど別料金なものですから」
客「そうなのか。まぁ、こんなにまけてもらったから。ついでに買っておこう。どれが良いかね?」
店員「こちらの24金の線の1mくらいでいいかと思いますけど。」
客「あっちの銅線じゃダメなのか?」
店員「ダメということはないんですが......」
というような、テレビや冷蔵庫を買うのと全くかわらない感覚で、オンラインショップ用のWebサーバが買える時代になるに違いない。そうすると、きっと、いままでみたいに訳の分からないソースコードの権利がどうの、製作に掛かる見積もりがどうのということを気にせずに、気楽にネットのビジネスをはじめられるようになるんだろう。(もっとも、私はそれでご飯を食べているわけであるが)
こうなると、別段技術者がいなくても、コミュニティの人達が電器屋におかいものに行けば、すぐにCANがつくれっちゃう。難しいことが抜きで、だれでもCANのメンバーというわけ。
それでもし、そういう「ハコモノ」ネットワーク製品が主流になる世の中になったら、日本が天下の時代に戻れるかもしれない。だって、テレビや冷蔵庫みたいに工業製品を作るわけだから、世界のトヨタ様のやるような生産方式でジャンジャンとコストダウンして効率的に作るだけだし、中途半端にお客の世話をする必要もないから、意外と儲かるよ、きっと。