コアントロー

私が、これ以上、多く消費したリキュールはないでしょう。
暇さえあれば、出張して臨時バーテンダーをやると、 ほとんどの場合、カクテルを作るのですが、これ無くしては 本格カクテルの大半が作れなくなるでしょう。

いいかえれば、これがあれば、色々なカクテルが作れるという 優れもの。おまけに、お菓子つくりにも最適。

さて、私が大学院の修了も近づいたある日の事。
このころ、別の大学の別の学部の人の卒業論文をサポートしていて、 その子の論文がけっこう難航してました。で、お互いの家で、 徹夜で、勉強していました。
ようやく、それが完成し、その子も卒業が出来るとの事が決まりました。
電話での会話
O「Fさん、Fさん、卒業できますぅ。ありがとうございましたぁ」
F「そいつは何より。こっちも手伝ったかいがあるというものだ」
O「でぇ、お礼ってほどではないんですけどぉ、うちでご馳走したんですぅ」
F「いや、まぁ、それはそれでありがたいねぇ」
O「で、別にお願いもあるんですけどぉ」
F「........。何?」
O「カクテルの作り方教えてください」
F「.......。べつにいいけどさ」
O「ちょっと、卒業コンパ時にカクテル作って驚かせたいんですぅ」
F「なるほど......。」
で、結局、食事をしながら私がカクテル作りを教える事に。
いつもの、重たいセット持って、その子の家まで。
その子の家に着いて、色々カクテルの使い方を教えていると
O「でぇ、カクテル作るのに、必要なお酒って何ですかぁ?」
F「うーん。かっこつけ込みで、シェーカー振るんだったら、これかなぁ」
当然のように、コアントロー。
F「こいつがあれば、サイドカーとかホワイトレディ、マルガリータと有名どころはたいてい作れるし」
O「あのぉあのぉ、わたし、これって見た事あるんですけどぉ」
F「だろうねぇ、何処にでもあるし」
O「ちょっと、まってください」
と、何やら、台所へ。で、ビンを何か持ってくる。
O「これってぇ、なんか、ラベルとか似てるんですけどぉ」
F「うんそれの事」
彼女が持ってきたのはコアントローの大瓶
O「でも、これってぇ、お菓子作るのに使うものですよねぇ」
F「どっちに使っても良いんだよ」
O「えー。そうなんですかぁ?」
F「そうなんです」
O「じゃぁ、新しく、材料とか買わなくてもいいんですよねぇ」
F「そうみたいだね」
で、こっちに向きなおして、にこっと笑いながら
O「でぇ、もう一つお願いがあるんですけどぉ」
F「なに?」
O「その道具、コンパの日に貸してもらいたいんですけどぉ」
F「.........。もう古いから、やるわ」

こうして、3年間のF'sBARの閉鎖が始まったとさ(笑)
今は、妻の使ってたカクテルの道具で、ホームバーは再開しましたけど。