ジャーナリスト
私もジャーナリストになりかけたころがありました。
私に、TV番組の作り方を手取り足取り教えてくれた先輩がいました。
その先輩は、はじめはえらい無愛想でした。
新人で局に配属されたとき、一通り、新人らしく
「よろしくお願いします」と、周りの人に挨拶すると、
他の人は、やさしく「頑張ってね」とか、「こちらこそよろしく」とか
言っているのに、その人は、完全無視。
で、皆さんとの顔合わせと挨拶が終わると、いきなり、
「ちょっと、こっち来い」
と、私を奥に連れていって
「みんな、暇じゃないんだから、この辺のVTRでも、勝手に見て勉強してろ」
そういって、さっさと仕事に行く始末。
で、はじめて中継番組の仕事をするときでも、その人がメインのディレクターで、
私の立場は、バイト以下の扱い。徹底的に厳しく扱われました。
でも、一緒にロケについて行ったりして、少しずつ、盗む事を盗んでいると、
だんだん、認めてくれてたのか、いつも一緒に行動するようになりました。
TVとは、TV番組とは、あるべき演出とは、その人のTV哲学を
よく、私を相手に延々と語っていました。
当然、私も非常に影響されました。
その影響は、私が、インターネットというメディアでの仕事をするようになってからも
色濃く反映しています。
で、ある日、先輩が自分が作った番組を素材に、勉強会をしてくれる事になり、
私の家でする事になりました。
ちなみに、当時も、私の家はバー状態。
家に入った先輩の目には、ごろごろと転がるボトルの数々が映ったわけです。
I「これなんだよ」
F「いやぁ、カクテル作るの趣味なもので」
I「ほぉ。なんか作ってよ」
F「どんなのが好きです」
I「いやぁ、どんなのでも良いけど」
F「じゃ、まずは軽いので」
と、トニック系の軽いお酒を飲みながら勉強会を深夜まで。
で、終わったところで
I「なんか、他のカクテル作ってよ」
F「うーん」
I「あ、俺にぴったりのカクテルとかある?」
F「わたしの、Iさんのイメージにぴったりなカクテルでいいですか?」
I「OK!OK!」
ジン、ドライベルモット、スイートベルモット、コアントロー、レモンetc
手早く用意して、グラスに注ぐ。
F「はいどうぞ」
I「お。変わってるけど、けっこう美味いじゃん」
F「よかった、気に入っていただけて」
I「なんて言うカクテル?」
F「ジャーナリスト。」
I「いいねぇ。でも、俺、あんまり報道系は狙ってないけど(笑)」
うーむ。失敗か。
でも、私としては、事実ではなく真実を伝えるという
姿勢はたとえ演出家志望であってもジャーナリストだと想う。
今は何処で、どんな番組を作ってるのかなぁ。