かみふっこリキュール

私が短い間でしたが過ごした上富良野町というところの 地場産品(いわゆる一村一品というやつ)です。

まぁ、もっともこの土地に住んでいるときは、私は高校生でしたから こんなお酒の存在などまったく無関心であったわけですが。
この富良野盆地の土地にはそれなりの思い入れというか、色々な 思い出が詰まっていますし、この時代が自分の今の進路の原点に なったのも確かです。
いまでも、自分の家の窓から見える日の出公園のラベンダー畑の美しさと、 その向こうの十勝岳連邦の山並みは、日本で一番美しいと信じているくらいです。

その後、網走に転出し、札幌の大学に進学。
長らく、この土地に足を踏み入れることはありませんでした。
そして、就職。某放送局の旭川支局に配属されました。
ふと、懐かしくなり、休みの日に、汽車に揺られ 上富良野へ一人降り立ちました。

そこで見たものは、すでになくなった、昔の住まいの跡地。
観光客向けに、変えられた町並み。
正直に言って、私にとっての昔を語れるものは何も残っていませんでした。

なんとなく、うすら寂しい気分になり、
「もう帰ろう」
そう決めて、駅へと足を運びました。
歩きながら、ふと入ったのが酒屋。
汽車の時間までまだ間があるので、少し物色してみました。
うすら暗くて、あまり人の居ないお店でしたが、
初めて入った店内は外から見た以上に広く、 お酒もそろっていました。
ついでに、店内を物色していた私の目に入ったのが
「かみふっこリキュール」というPOP。
当時、一村一品など珍しくもなんとも思わなかったのですが、
手ぶらで帰るのもなんだし、と、買ってみました。
で、おまけで、小さなショットグラスをもらいました。

帰りの電車、ほとんど貸し切り。行儀悪くも、昼から、つけてもらったショットグラスを使って、かみふっこリキュールをちびりちびり。
流れ行く車窓を眺めながら。
たしかに、細かな町並みは変わったかもしれない。
でも、毎日通学中眺めて続けた、この車窓からの風景は 相変わらず美しかった。

しかし、このネームセンス何とかならんのか?かみふっこって...。 上富良野産って事を強調したいんだろうけど......。 せっかくのうまいリキュールが売れんぞ。