玉乃光(冷凍酒)

夏の暑い時には、フローズンカクテルなど シャーベット系のお酒がけっこう美味。 そんなこんなで、最近、日本酒凍らせるのも 結構人気のよう。
何でも、物の本によると、日本ではじめて 冷凍酒を作ったのは、かの有名な小説家だった 故 星新一氏のお父さんの星一氏だとか。 日本ではじめて冷凍技術をドイツから導入し 使い道の研究のため凍らせてみたとか。
そう思うと、冷凍酒ってのは結構古くて 新しい日本酒の楽しみかたのような気がします。

蘊蓄はさて置き、京都で、このお酒の部屋の 認定ファン第一号であらせられる、しづこさまのお誘いで、 京都遠征させていただいた時のお話。

なんせ、京都なんて修学旅行以来行ったことのない 未知の土地です。
なんとかお会いして、しずこさまのお車で、移動。
しづこさま(以下S)「お昼は召し上がりましたか?」
F「いえ、まだです」
S「じゃ、いきましょう」
と、あっさりとどこかへと移動。(私には未知の世界)
で、小さな小奇麗なビルの前に到着。
S「ここのランチがけっこう美味しいんですよ」
F「ほうほう」
玄関をくぐりますと、カウンターのみの店。
で、その中では、3名ほどの料理人が、下拵えをしている様子。
あのぉ。しずこさま。こりゃぁ、ランチっていうより懐石って 感じじゃぁございませんか?
と、びびって席に着くと
S「いつもの、2つで」
M「はい」
もう、この時点で、Fは既に借りてきた猫状態。
だってねぇ、日本の古都ですよ。伝統の都、京都ですよ。
おまけに、目の前には、料理人がいるんですよ。
こんな、育ちの悪い、蝦夷の地の蛮族が、下手な食いかたして
ででけ!
なんて、怒鳴られたら、せっかく紹介して下さった、
しづこさまに悪いじゃないですか。

で、料理が、ぼつぼつと出はじめますと、
けっこう、気張らずに食べてもよさそうな雰囲気で ちょっと、安心。
そこで、いきなり
S「何かお飲みになりますか?」
F「あ、いや、でも、まだ昼だし」
S「まぁまぁ良いじゃないですか」
F「あ、では、お願いします」
S「えと、じゃぁ、例のお酒を」
M「はい。かしこまりました」
で、出てきたのは、シャーベット状に凍らせた玉乃光。
しかも、凍らせすぎず、さらっと流れる状態。
お酒の自然な甘みが、程好く、口当たりのよさと、 この冷たさが、美味しいというよりは、心地よいといった感じ。

しかし、これがまた、料理に非常に合う。
出て来る料理が、京野菜などを中心とした 懐石風のランチ。
それぞれの料理で、味の緩急はあるものの、 基本的には素材の味を引き出す、薄めの作り。
これにはやっぱり、辛めの日本酒が一番。
玉乃光を凍らせることにより、よりすっきりとした味わいで また、料理に合うんです。

まさに、一生涯に何度味わえるかというような 高級な料理でございました。
まさに、その料理の味を引き出してくれた 玉乃光と、その料理をごちそうして下さった しづこさまには感謝感謝でございます。

しかし、玉乃光じゃなくて、もっと野暮ったい べたべた甘い日本酒を凍らせたらどんな味になるだろうなどと たわけたことを考えていたりもして。