オタール

このあいだ帰省した時の話し。

私の後輩Kが、京都大学の博士課程への進学が決まったので その送別をしようという事で、帰省した。 (それ以外の理由もあるけど)

飲み会やるのはいいけど、先生方苦手だなって 思ったので、Tに適当に手配お願いねって言ったら オオゴトになってて、 隣の研究室の先生まで来るし。

わしらの親玉は、I教授だ。(Tの親玉は違う) じつは、私は、このI教授、苦手なんですよ。 基本的に、先生だの上司だのってのは、みんな苦手なんだけど。

在学中に一緒に飲んだ記憶ほとんど無いし。


で、Kの送別会で、
「ま、3次会くらいになれば、センセはいなくなるから Kと俺と、あと2~3でnokiaかな?」
って考えていたんだけど、いざ2次回が終わると

I「Fくん、次のお店、いい所ないかい」

って聞かれて、びっくり仰天。
人数もほとんど減らなくて10人くらい居るし。

他に心当たりもあったけど、やっぱり、 自分が飲みたかったから、nokiaへTELを。
たまたま、客が0だったらしく、10人でOK。
(ちゅうか、10席しかない。)

で、席にバラバラと着くと。
おいおい、俺の席は教授のとなりかい?

I「ふーん。Fくんは、こういうお店で良く飲むんですか」
F「ええ、まぁ」(心臓バクバク。研究サボって来てたからなぁ)

他が、バラバラと注文をはじめる。
やはり、若者。
ライトなカクテルを注文しはじめる。
Fは、ちと飲んでから来たので、ブランデーをお任せで。

I「僕は何にしようかな」
M「どういうお酒が好きですか」
I、Fのグラスを見て
「君は何を飲んでるんですか?」
F「え、あ、お任せで、ブランデーを」
I「じゃ、僕も、これください」

I「君はこういう所知ってるんだ」
F「まぁ、不真面目にしか勉強してない証拠みたいなもんですけど」
I「いやいや、君はかなり勉強してましたよ」
F「?!?!」
以外ですね。こんなこと言われると。
自他ともに認める、不良学生でしたから。
だいたい、研究行き詰まったら、ここへ直行でしたし。

F「でも、I先生の要求された事、ほとんどすっぽかしてたじゃないですか」
I「うーん......。いや、やっぱり勉強してましたよ」
F「(なんて言えばいいのやら)」
I「しかし、これは、美味しいですねぇ。なんてお酒ですか?」
F「Mさんボトル見せてあげて」
M「はい」
ボトルも持ってきて、カウンターに置く。
シンプルな作りだ。
F「あ、オタールか。緊張で味わからんかった」
M、爆笑
I「ふーん。詳しいですねぇ。Fくん」
F「いえ、ほとんどここで教わってますよ」
すっと、飲み干し、
I「じゃ、もう一杯貰おうかな」

この一杯を飲みながら、
はじめて、先生と、科学哲学についての本音を 延々と語った気がします。

世界を探求するための科学哲学なのか、
科学を分析するための科学哲学なのか。

意見は一致しなかったけれど、非常に楽しい 学生の時には出来なかった議論が出来た気がします。
そして、この先生の元から、K君のような優秀な 科学哲学者が輩出される為には、どうするべきかや、 科学哲学のすそ野をどう広げていくかなど。

お酒の力に任せて、好きな事を言ってきました。

I先生、気に触ったかもしれませんが、 不幸にも生意気な学生を受け持ったと思って、 諦めましょう。

Fの口は、お酒ごときじゃふさがりません。