取り合えず、好きなカクテルを５つ挙げろと言われたら、 迷わず中に入るカクテルの一つだ。 作り方など、言わずと知れた簡単なもの、スコッチに ドランブイを混ぜる。ただそれだけ。

にもかかわらず美味い。はじめは前出のドランブイを買ったときに、ジャパニーズウイスキーを混ぜて飲んでいたが、 やはりこれはスコッチに限る。
そして、大抵このカクテルのお陰で、どこの土地でも バーマンに覚えていただける。なぜかって？ 混ぜるスコッチを指定するから。
私は、いつもは、グレンリベットの１２年だ。 たいていのバーマンは嫌そうな顔をする。 それはそうだろう。いくら安くなってきたとはいえ、 スコッチの中のスコッチ、ＴＨＥグレンリベットだ。 「元祖スコッチにこの若造は何をする」という 結構冷たい目で見られる。

しかし、一度お試しあれ。ラスティーネールの中では、 もっとも美味いものになる。 そして、バーマンの中にはこの事を知っている、 「若造」も結構いるのだ。
そうすると、二度目にそのバーに行くと、一度目には 言葉も交わしていないのに、バーマンが向こうから、 話し掛けてくる。

「あ、ラスティーネールの人でしょ」と。 もうこうなると、そこに通わざるを得なくなる。

考えてみたら、商売上手なバーマンだ。