自己投資

うちの小1の娘が、学校から推奨図書の申込書を持ってきた。
その本が欲しいという。金額は500円。申込書を書き終わった時点で、学校取りまとめの場合ありがちな話で、おつりの無きようにとのことに気が付く。ちょうど500円分の小銭はない。申し込みの締め切りがまだ先ということもあり、「あとで、コンビニいって細かいお金を用意してからお金入れちゃるわ」と。
すると、この娘、自分で出すと言い張りだし、自分の財布のがま口を開ける。中にちょうど良く、100円玉が5枚以上あったので、自分で封筒に詰めてランドセルに入れた。
親としては実に甲斐性なしな状況ではあるのだが、娘のこの行動が嬉しかったりする。多分、彼女の人生初の自己投資に他ならない。

サラリーマンをやっていると、経費でものを買う癖がつきがちで、実務に必要な書籍であれば、バンバカ経費で買ってしまう。僕もそういうサラリーマンだったし、会社としても、その書籍のノウハウは会社として必要なものなのだから、経費で購入しても一向に差し支えはない。
経費で本を会社は買ってくれるものではあるのだが、他方、サラリーマン時代よく経営者に言われた言葉は「給料の1割でいいから自己投資しなさい」というものである。自己投資って言っても色々あるが、あくまで、「ビジネスマンとしてスキルや視野を養う」ための自己投資である。飲み代や、純粋な観光旅行は自己投資にあらずというわけ。

この人材流動化の時代、経費で買った本は、原則として経費を払った会社の備品に他ならないので、転職のたびに会社に返納せねばならない。また、その企業の業務のみをこなせるだけの人材というのも、なかなか、役立つものではない。先のことを考えても今のことを考えても、書籍を自腹で買ったり、セミナーに自腹で出席したりってのは、重要なことに他ならない。
以前、ロケットを作る赤平の優良企業の専務が言っていたけど「貯金やら財テクの利回りなんか知れている。知識に買えた人間の利回りは測定できないほど大きい」といっていたことに他ならない。

と、私は理屈で自己投資をしてきた。そう考えると、自己投資の癖を小さなときからつけているというのは、とっても有利に他ならない。給料の1割貯金するよりは、1割貯知(というのがいいのか分からないが)する方がいいに決まっているということだ。

娘の500円の自分のお金での初貯金、ならぬ初貯知。少しづつ親が出す分と自己が出す分でたくさんためていって、大きくなったらまた自分の次の世代の貯知にまわしてもらえればハッピーだ。