加害者と被害者

男性の暴力ってのはよく話題になる。DVなどという、夫婦間なんかも少なくない。
当然、手を上げるものだけではなく、言葉や態度を使ったものなんかも往々にしてある。確かにこういう加害行為は、一切許されるものではないんだけど、最近ちと思うことがある。

この加害被害関係って、はじめからこの図式だったのかなと。

よほどの奇人変人じゃない限り、手を上げることはないはず。で、そんな奇人変人を好きになって結婚するというのも、正直考えにくいとも思う。
生物学上の理由がないとしても、社会状況など育てられ方で、男女の思考パターンがある程度統計的に有意な差があるとはよく言われる。結婚して思うけど、それはうちの夫婦に関していえばあたっている。日常生活での、言い方や、リクエストの仕方があまりにも無礼で、カチンときたことは一度や二度ではない。当然、夫婦喧嘩に発展する。幸いにしてというか不幸にしてというかはわからないが、手があがることはないし、大体、私がさっさとどっか飲みに行って、帰ったころには忘れているというパタン。
が、こういうストレス発散ができないで、一方的に言われつづけてじっと男性が耐えていたらどうだろう?
普通ある日突然怒り出すはず。でも、それまでにはそれ相応の蓄積があるものではないだろうか?それまでの、彼女のほうの発言は短絡的に無罪といえるとは思えない。
一見すると、この構図は、男性が加害者で女性が被害者と取られがちだが、殴りだすまでは、明らかに男性が被害者で女性が加害者のはず。

往々にして、歴史上の国家の戦争も似たようなもの。たとえば、十字軍。そりゃ、しゃれにならない、大殺戮だし、許されるもんじゃない。でも、香辛料貿易の歴史を調べると、ああ、1000年単位であれだけ搾取するほうもするほうだわな、などとある種納得してしまう搾取っぷり。ようは、案外忘れ去られがちだけど、あの戦争まで、明らかにキリスト教圏の国家は、アラブやら中国やら東南アジア諸国から、徹底的に香辛料で搾取されていた。

搾取されるあほが悪いという理屈も成り立つし、先のDV男の例で行けば、そういう事態になる前に、きちんと奥さんの放し方を教育せい、という話になる。でも、人間みんなそんなに利口じゃないし、器用じゃない。搾取する側もそれをわかってやっているわけだし、わからないでやっていればもっと悪質な状況。

僕も、もしくは、僕が所属するコミュニティも、どこで加害者になっているか分からない。そういう自覚が生きていく上では必要かもしれないと最近思う。で、今、被害者たる地位にいてしまっている相手に対する、洞察やある種の和解を求める姿勢を持ちつづけたいものだ。