友人の誕生日

自分より一回り以上の年上の方を捕まえて「友人」というのもなんなんだけれども、私の尊敬する、岸本さんが昨日、誕生日だったそうだ。
まぁ、親の誕生日もろくに覚えないろくでもない人間なので、どんなに尊敬すべき人々であっても誕生日は覚えていないのだが、この岸本さんはさすがに情報発信の世界で生きるヒトだけあって、BLOGのエントリーで誕生日を知らせてくれていたのでわかった。

彼と始めてお会いしたのは2001年8月のNPO全国フォーラム2001東海会議の分科会の「どうなるIT社会?どうするNPO?」というイベント。パネラーをともに務めたのがきっかけだった。今思えば、ここでのコーディネーターをされていたのは今の三鷹市長だし、不思議なご縁の数々の始まりのイベントだったわけだ。
先方も忙しかったり遠路の方だったりということもあって、それほどちょくちょくお会いするわけではないけど、6年ほどお付き合いさせていただいているわけで。
その間、視察に行かせて頂いたり、某賞に推薦させていただいたり、僕の地元の市民メディアの立ち上げでご指導いただいたりと、ちょこちょこつながりはあったりします。
とにもかくにも、お誕生日おめでとうございます。ますますのご活躍期待しています。

エントリーを改めて読ませていただくと、30代のころに、今の岸本さんの活動のスタートがあったことがわかる。それを粛々と20年続けてきた結果が、今現在、日本中で、市民メディアやパブリックアクセスともてはやされる様々な活動を生み、さらに広めるきっかけとなったのだ。
日本の市民メディア文化の生みの親と言っても過言ではないヒトだ。でも、それには、孔子のように「三十にして立つ」だったわけだ。

でも、岸本さんに限らず、僕の回りの年上の友人はいろいろな意味でことを成し遂げている方々ばかりで、いつお会いしても学ばせていただいているし、人生を上手に導いてくれる方ばかりだ。
こういった方々に共通しているのは、大体30代に今の物事の始まりになる何かを始めていることがある。何でもサクッと始めサクッと成果が欲しくなるのは誰でもしょうがないのかもしれないけれど、やっぱり、世のためになる事業というのは始めてすぐにサクッと成果は出ないし、10年なり20なり頑張らないといけないんだろうなと、いつも実感させていただいている。

あと、岸本さんのエントリーを読んでも出てくるけれど「とにかくひたすらこのテレビ局というのを社会のために使うにはどうすればいいのか、を考え続け、考えたことを実戦し続け」というように、事を成しているヒトは、みんな自分のおかれた環境を良く見つめ、そこでその本質を見出し、それをいかに社会に役立てれるのかを考え続けている。そして、当然それを実践して結果を出してきた、その積み重ねが社会の変革になっている。

僕も、20代の始めのことは少し放送局というものにお世話になったし、岸本さんのエントリに書いているような悩みを持った記憶もある。で、僕自身は心身ともに耐えられなくなってやめてしまった。でも、岸本さんはそこで踏みとどまり、30代半ばまで現場の中でテレビの本質を見つめ続け、その本質を持ってして、いかにテレビ局というのをより社会に役立つ形にできるのかという、具体的なアクションにつながっていくわけだ。
その20余年の集大成が、今、「市民メディアの時代」と叫ぶ多くの人々を作り出したわけだ。で、岸本さんのすごいのは、こうした人々に対して、決して「自分が生みの親だ」なんていい出すことはしない。大事なのは社会の変革であって、功名ではないのだ。でも、プロセスを丹念に取材調査すれば誰でも普通に気が付くことだったりする。

僕は、その30代半ばに来ている。そして、そのようなことを気づき教えてくれる人生の先輩である人々を数多く友人として持っている。にもかかわらず、こうした社会を良くする人生の種をまだ持っていない。
人生あせっても始まらないんだろうけど、皆この年にはそうした種を握り締めて、全力で戦い始めていたことを思うと、今の自分の状況はあまりにもふがいないというか、生ぬるいというか。

岸本さんをはじめとする、僕よりずっと年上の「友人」たちに恥じない人生を送ることをまずは真剣に考えないとなぁ。取り敢えずは、志だけはぶれないで頑張って毎日全力で過ごすこと。かな。