科学実在主義

この立場は、手っ取り早く言えば、
科学の理論に述べられている、対象や関係が 科学が述べているように実在する。
(もしくは、 将来的にそうなるといった立場も含む)
というものである。

現代人は程度の差はあれ、たいていは、 科学実在主義者だろう。 今更、分子や原子が実在してないとは普通 考えないだろう。

しかしながら、この立場は純論理的に維持するのは難しく、 さらには近年の量子力学の展開などにより、 現実の科学理論が実在的に解釈しがたくなって 来ていることも知られている。
科学教育の現場でかたられているような 素朴な意味合いでの、科学実在論は現在、 完膚なきまでに論破されてしまっているのは確かだ。

では、現在、科学実在主義はどのような立場に おかれているのだろうか?

科学の理論を評価していくのには、いくつかの段階がある。 まずは、
経験的に適切であること。 すなわち、実験観察に理論が述べる結果が一致していること。
次に、
無矛盾であること。 その理論体系の中での言明が矛盾しないこと。
この2つを満たした時、
この理論を真だと信じる事ができる。

このステップを最後の段階まで認めるのが 現代の科学実在主義である。
この形式でくみ上げられた、科学実在主義の議論は かなり強力ではあるが、元々我々が、実在という 言葉にたくしていた意味合いが維持できているか どうかは疑問である。

代表的な科学実在主義者としては Wilfrid Sellars が著名である。