見るって何だろ?

科学の基礎は観察からなる。
そんな事を言う先生方は 沢山いるけど、観察する、すなわち見るって どういうことなんだろう。

「見るって目で見ることじゃない。」
そういわれると身も蓋もなさそうなんだけど、 ちょっと考えてみよう。 今の科学で肉眼で見て判断することなんてほとんどない。

まず、ガラス越しに見る。
これは、きっと見るの内なんだろうな。
次に、眼鏡越しに見る。これも見るなんだろうな。
(じゃなかったら眼鏡をかけている僕の立場は?)
次に、顕微鏡越しに見る。これはどうかな?
天体望遠鏡越しに見る。これもどうかな?
電子顕微鏡越しに見る。
こうなってくるとだんだん怪しい。
つぎにSTMで見る。NMRで見る。 他にもある。インターネットを介したTV電話なんかも、 相手を見ながら話をするというけど、これも相手を見た といえるのかな?

しかしどれも単純に、「肉眼で見る」=「本当に見る」 としてしまうと、上に挙げた例はすべて、ガラスや器具や モニターを見ているのであって、 対象を見ているわけではない。
そうすると、僕らの常識が揺らいでしまう。 でも、上に挙げたものがすべて対象を「本当に」 見ているといえるだろうか?

さらに科学が正しいなら僕らの目は嘘を付く。 だからCCDカメラとコンピューターが対象を 正しく「見る」。なんてことも科学の現場では あることのようだ。
でもこの時、いったい何が何を見ているといえるのだろうか?

見るっていったいなんだろう?