パブリックアクセスって何だ?

いつも企画倒れになる連載シリーズですが、またはじめてみました。 お題は「携帯簡単パブリックアクセス」という、なんだか意味不明な代物です。要は今時の携帯電話の動画機能を利用して、パブリックアクセスに挑戦しようという非常に簡単なことです。

とはいえ、「携帯電話ぐらいは分かるけど、パブリックアクセスって何だ?」という人も少なくないでしょうから、まずはその解説から行きましょう。とは言っても私の主観がガリガリ入っていますんで、その辺は読者がご自由に斟酌してご利用くださいませ。

■パブリックアクセスの始まり

パブリックアクセスはもともとアメリカで1984年に生まれました。そもそもはCATV事業が地域独占事業にする代わりに、大衆に自由に利用できるチャンネルを提供することをCATV事業者に義務づける法律が1984年に可決したのが始まりです。
その時の法律の通称が「パブリックアクセス法」といわれていたために、CATV等を使ってその地域の住民が自分で番組を作って、その番組を自由に配信する活動を「パブリックアクセス」と呼ぶようになりました。
ちなみに、アメリカのパブリックアクセスは、一定の研修さえ受ければだれでも番組を持ち込むことができて、基本的に検閲無しで配信されるそうです。その雰囲気は、映画パブリックアクセスをご覧頂けると理解しやすいのではないでしょうか。

■パブリックアクセスの意義

これについては、研究者各人各様の解釈があると思いますが、最も大きいのは情報のバランスを取るということだった私は考えています。やはり、国営放送と民営放送(この場合、営利企業による放送)だけでは、世論形成を担う放送媒体としてはバランスが良くなく、そのバランスを取ると言うことで、市民が自由に意思表明できるという仕掛けを必要としたのではないでしょうか。
そういう意味では、昨今世を騒がせているNHKが国営ではなく公共という不思議なスタイルの放送局であると言うことと、非常に近い価値があるのではないかと考えています。極論ですが、政府と企業が結託して、世論を誘導するということを避けるために、日本ではNHKという公共放送を作ったのに対し、アメリカではパブリックアクセスという形で市民に自由に番組を作らせるという形式を取ったともいえます。

■なぜ今、日本でパブリックアクセスなのか

今、日本でパブリックアクセスという活動が必要とされてきています。NHKが不祥事を起こしたから、というわけではなくて、すこしづつその潮流ができつつあります。代表的なのが、熊本県の有限会社プリズムを中心としたパブリックアクセスの活動です(コラム参照)。
財政面を中心に地域への権限などの委譲が必要とされる中で、日本のキー局を中心としたマスメディア体制では、地域の人がその権限を構築し判断するのに十分な地域情報が流通しにくいという側面が生まれてきました。これからの地域、地方を中心とした経済圏や生活圏を築いていくに当たって、現在のマスメディアやブロックメディアでは不十分になりつつあるのです。
その補完的な側面を伴って、市民の手による必要な情報の収集と、その配信の保証によって、元々のアメリカ型パブリックアクセスとは違った意義を持つ新たな日本型パブリックアクセスがうまれてくるのです。

■パブリックアクセスは実現できるのか

私は、できると思っているのでこういうサイトもやっていますが、困難は少なくありません。
一つはアメリカのように、強烈な法律で市民の権利が擁護されているわけではないので、市民が自由意志を持って作った番組が自由に配信できるわけではありません。いわば「権限」の問題。
もう一つは、市民がそれぞれ、相手に伝えるだけのコンテンツを見出し編集する能力が育っていないということも上げられます。すなわち、仮に、そういう権限を市民に与えてもすぐに優良なチャンネルが出来上がる保証もありません。いわば「能力」の問題。
もう一つは、マスメディアに慣れた視聴者に対し、この視聴率競争の中、限られた生活の時間からこのパブリックアクセスをチョイスさせるという困難があります。権限を得て、良いチャンネルを作っても、見てもらえなければ無意味となる恐れがあります。いわば「競争」の問題。
この3つの困難を越えることが、パブリックアクセスに要求されています。

■実現へのチャンスはどこにあるか

私は、この三つの問題は自動的に解消されると考えています。

「権限」の問題は、二つの解決の流れがあります。CATVなどと協業する場合には、当然、市民による自主ガイドラインを策定することで、法的な権限がなくとも様々な批判をかわすことが可能です。しかしある意味、民放などと同じ手法です。
実は、この解消には、もう一つの流れであるインターネットという配信媒体が有効であると考えています。こちらにはコンテンツに関する法的規制は非常に少ないため、アメリカ型パブリックアクセスのコンテンツ配信が可能となってきます。しかし、「競争」の問題はより激化してしまうため、新たな解決の努力が必要となります。

「能力」の問題に関しては、動画馴れした市民を増やすということに尽きます。デジタルビデオカメラの普及で、そういう市民も随分と増えたとは思います。しかし、市民全体から占める比率は非常に少ないといわざるを得ません。実は、携帯カメラの動画機能から動画馴れする人のほうが圧倒的に多いのではないかと考えています。そう考えると、携帯動画から動画に入った人が、デジタルビデオカメラにバージョンアップするか、携帯動画でそのままパブリックアクセスに入れるようにできれば、かなりの可能性は望めます。

最後の「競争」の問題ですが、リップマンが著書「世論」で指摘しているように、人間がメディアの中で関心があるのは、まずは自分のことであり、次に家族のことであり、そして知人のことである、ということから考えると、実は作った人の友達や知人がコンテンツをまた作るというサイクルさえ作れば、いわば口コミと同じ構造で、十分にマスメディアと競争できるだけのチャンネルになるといえます。

■だからやってみた

上記から考えると、いわばインターネットで配信を前提として、携帯動画で気楽に番組っぽいものが作ることができれば、パブリックアクセスという潮流は、ぐ~んと近づくと思います。このシリーズを見てその気になった人が、パブリックアクセスに挑戦してくれたら良いなと思います。
なので、次回から、まずは携帯で番組を作る方法を私のへっぽこINFOBAR携快電話11を使って実際にやってみたのを解説していきます。

携帯パブリックアクセス技術編 携帯パブリックアクセス企画編
携帯動画を取ってみよう
簡単に編集してみよう
情報を足していこう
ネットで配信しよう
PCを捨てて街に出よう!携帯は持って。
想いは自分のモノ。だけど。
想いを形にしていこう。
実際に作ってみた

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