漢方―中国医学の精華
漢方薬と民間薬の差―それは、証にしたがって用いるかどうかという一点にかかっている。(P.14)
案外と誤解されているんだよな。中医って。あまり効かない生薬を地道の飲むのが漢方の療法だと思ったら大間違い。あくまで診断と処方(投薬でも手術でも)はセット。それは古今東西どんな医療でも、まっとうな医療は共通していること。
漢方を俯瞰的にトータルに押さえた良書。実は、仕事のリサーチでも結構種本として使わせていただいている。実は漢方(かんぽう)ではなく、読み方としてはもともと「かんかた」。蘭方との対比。なので、
「漢方」という名称はわが国独自のものであって、明治以後に用いられた言葉である。(P.3)
それにしても、面白いのは
もともと身につけるものを体内につけたわけであるから、薬をのむときだけにかぎって「服薬」「服用」「内服」という言葉が生まれたのである。(P.21)
という風に、薬とはもともと着る物だったということ。内側に服を着るから内服なんて思いもよりませんでした。漢方を知りたい人は一度読んでみることをオススメします。
われわれはあらためて古代中国の叡智に深く敬慕をささげたいと思う。(P.165)