日本の伝説

日本は昔から、児童が神に愛せられる国でありました。道祖も地蔵もこの国に渡って来てから、おいおいに少年の友となったのは、まったくわれわれの国風にかぶれたのであります。(P.147)

なんというか、今の日本は児童が愛される国とは思えません。そして、その児童と戯れてくれた神々もまた死に絶えたのではないかと言う気がします。
柳田國夫氏が日本中から伝説を丁寧に採取・分類し一つの読み物として纏め上げた名著。多分、非常に薄い本ではあるけれど、この手の本の決定版と言っても良い一冊。
氏の思いとは裏腹に、現代日本は子供にも神にも伝説にも冷たい国になっている。ただ、氏の言うように

伝説と昔話とはどう違うか。それに答えるならば、昔話は動物の如く、伝説は植物のようなものであります。(P.9)

と、いえるような生命力があることを期待したいかな。トマソン物件でも植物が人造物をぶっ壊しているものも少なくないし。伝説の復権が子供の愛でられる国の復権になれば言うことなしか。