分析哲学入門
何を哲学とよぶかは定義の問題である。しかし、どの哲学を選ぶかは、常に選ぶ人の責任である。(P.80)
哲学というと、なんだか訳分からない形而上学で非論理的なものとだったり、信念の問題とされたりしがち。でも、哲学を突き詰めると、多分、この分析哲学になる。で、こいつは恐るべき論理と経験だけで論じる合理主義の塊みたいな哲学なのだ。僕がやった科学哲学ってのも、一部はこれからの派生。
本書は教科書として実に秀逸な一冊。論理実証主義からその派生、発展経路などをコンパクトにまとめている。カルナップあたりなんかは久しぶりに勉強しなおした感じでした。
哲学志望と自称する人、哲学とはとか語りたい人は、まずはちゃんとこの辺は押さえておきましょう。
われわれが結論の真理を信じる理由は、前提の真理を信じるからではない。前提の真理を信じる理由は、結論と経験との一致から生まれる帰納的、蓋然的理由にすぎないのである。(P.32)
認識の客観性はどのように保証されるのであろうか。(P.60)
以前には、「無意識の心」という観念そのものが理解不可能であった。今では、「意識する心」という観念そのものへの理解を、われわれは失いかけている。