主題と変奏

音楽は音のある種の処理によって、ぼくらに時間的空間的感覚を持続的に意識させる芸術だ(P.129)

実は、音楽を鑑賞するという姿勢は自分には皆無だった。今でも、音楽鳴らすぐらいなら、鳥の囀りでも聞いていたほうがいいじゃろうという、発想の持ち主。それでも、音楽を聴くということを楽しみとする人がこの世にいる以上、何が楽しいんだろうかと、色々勉強してみるわけです。
こんなエッセー読むよりいい音楽を聴いたほうがいいんだろうけど、まぁ、冒頭の引用を読んで、なるほどなと。
とはいえ、ここまで理屈を積み重ねられると、他方では何にも楽しくないわけで。まさに、著者が書いているけれども、その著者自身もその精緻化に一役買っているという気もする。

享受し鑑賞する技術の精緻化が、かえって虚心に楽しむ心の豊かさとゆとりをうばってしまった。(P.88)