古代社会
血縁家族の存在が確立され、その証拠は十分に提示されたとおもわれるのであり、それをもってすれば残余の諸家族は容易に証明されるのである。(下P.196)
そうかぁ?そりゃ、あくまで一元進化を決めてかかるから、容易に証明できるように思えるけど、もしそうでないとすればそれは難しいでしょうが。そもそも、一元進化の適切な証拠提示もないでしょうに。
うーん、古代社会といいながら古代社会に対しての物証はなく、類推で決めてかかった古代社会から進化系譜を書いている本。ちょっといただけない気がする。この本を読んでも、古代社会を理解できたとは思いにくい。
いかにして未開人が、同様な漸進的発展によって、最後に文明に到達したのであるか。(上P.20)
と言うのが、全ての前提。で、さらに言えば
人類のみが、食料の生産に対して絶対的な支配を獲得したといいうる唯一の生物(上P.43)
といえる状況ではすでにない。食料についてはもはや危機的状況だ。コントロールできていると思い込んでいただけで、昨今の圧倒的な食糧不足は、実はコントロールできていないことの証左でしかない。
まぁ、その時点の人類の状況でしか物を判断できないんだから、彼も彼の時代での判断でこの古代社会を書いているんだから、こういう批評は不適切って事だな。うん。
ひどく書いたけど読む価値のない本ってことはないので、念のため。
それはやがて不平等の特権および同一の国家に属する国民の間における個人に対する尊敬の段階を導きいれる事によって社会の均衡を乱し、かくして、不和と闘争の源泉となったのである。(下P.388)