中国政治論集―王安石から毛沢東まで

文化大革命の少し前まで、中国知識人は日本から入る「赤旗」を読んで、それで日本全体がわかるように考えていた。(P.361)

いや、本編と無関係に、思わず笑ってしまった。この程度の情報収集能力の国が現在あったら、国際競争でまけまくりでしょうね。当然、現代の中国はそんなことはないわけです。
さて、王安石から毛沢東の頃までの政治論文を編纂したもの。退屈かと思ったら案外面白い。中国という国の近代化の軌跡を一冊で把握できるといっても過言ではないいいチョイス。まさに

時勢造人。豈不然哉。(P.196、中国之武士道自叙、梁啓超)

という形で生まれてきた人々の優れた見解ともがく巨大国家が良く見える本です。

ただ、編集順は逆のほうのが個人的には良かったかな。人間の思考は時系列に出来ているんで、事の因果を把握するには逆進では難しいです。
以下に、メモの羅列。一言書きたいところだけど、時間が掛かるのでそのまま放置。

心理学よりこれを言えば、人間なるものは意思の主体なり。自由なる者は意思の実現力なり。法律よりこれを言えば、人間なるものは権利の主体なり。自由なる者は権利の実行力なり。(P.72、東西民族根本思想之差異、陳独秀)
皆以変法而強。守旧而亡。(P.130、統籌全局疏、康有為)
然国政之立。皆以為民。民政不挙。等于具文而已。(P.153、統籌全局疏、康有為)
中国民族之武。其最初之天性也。中国民族之不武。其第二之天性也。(P.165、中国之武士道自叙、梁啓超)
雖然荀其挙動。有損於国家大計或名誉者。雖出自所尊重。亦常抗責之。不肯仮借。(P.177、中国之武士道自叙、梁啓超)
他人之急難。雖或無与於我。無求於我。然認為大義所在大局所関者。則亦鋭身自任之。而事成不居其功。(P.179、中国之武士道自叙、梁啓超)
亦教之養之。取之任之。(P.489、上皇帝万言書、王安石、人材育成の方法)
方今州県雖有学。取牆壁具而已。(P.503、上皇帝万言書、王安石)
蓋今之教者。非特不能成人之材而已。又従而困苦毀壊之。使不得成材者何也。(P.505、上皇帝万言書、王安石)
而一一以法束縛之。不使之得行其意。亦自古及今。未有能治者也。(P.541、上皇帝万言書、王安石)