人間不平等起源論
人民たちが首長を作ったのは、自分たちを隷属させるためではなくて、自分たちの自由を守るためであった(P.106)
ルソーの名著。なんだか、語ることも無いほどの著作だし、その思想は学校教育で習う。
確かに原始状態の考察とか、その結論に至るプロセスに関しては、どうかなぁと思うものも少なくないが、やはり、民主主義国家に住む人間としては、違和感の無い思想だ。それだけ民主主義の思想のベースなんだろうなとおもう。
学校で習うだけではなく、日本国に住んでいるなら、こうした原典に人生のうち一度くらいは読んでしかるべきだろう。
平等と不平等とはこの国家ではうまく組み合わされ、公共の秩序の維持と個人の幸福とのために、自然法に最も近く、しかも社会にとって最も好ましいように協力しているのであります。(P.6)
この主題について立ち入ることのできる探究は、歴史的な真理ではなくて、単に仮説的で条件的な推理であると考えなければならない。(P.33)
すべての動物のなかに精巧な機械を見るだけである。(P.46)
富を表わす記号が発明される前には、富は土地や家畜のような、人間が所有しうる現実の唯一の財産以外のものから成り立つことは、ほとんどありえなかった。(P.97)
個々の人間が一つの同じ社会に結合されて、彼らがお互いに比較し合い、たえず相互に利用しあわなければならないそのなかに見いだされる差別を考慮に入れざるをえなくなるや、信用と権威の不平等は彼らのあいだで避けることができなくなる(P.118)