世論

ニュースと真実は同一物ではなく、はっきりと区別されなければならない。(下P.214)

何度読んでもうなってしまう。全てが正しいということではないけれども、何度読んでも現代社会に必要な洞察が全て詰まっている。いわゆる○○リテラシーの類と格闘する人、メディアの人、メディアと付き合っている人、メディアを見る人全ての人が一度読むべき名著だ。
色々解説したいけれど、下らぬ解説をするより一度手にとって読んでいただいたほうがいいだろう。本自体も上下巻になっていて大部ではあるけれども、訳も秀逸で大変読みやすい。色々なメディア論、政治論の本があるが、この一冊から入門するのが一番いい。

以下は、自分勉強用のメモ。

われわれが政治的に関わり合わなければならない世界は手の届かないところ、見えないところ、知の及ばないところにある。(上P.46)
われわれは公的なことに関心があるにもかかわらず、私事に浸りきっている。(上P.80)
言葉というものは決して意味を伝える手段として完全なものではないからである。(上P.94)
目撃者といえども、現場そのままの姿をもち帰って報告するわけではない。(上P.109)
大事がかかっている場合、われわれは頭にある宇宙像と現実の宇宙の間にある差異をまったく認めようとしないのである。(上P.131)
ある観念がこのような世界制覇の道を歩むためには、いかに不正確であろうと、何か具体的なものに対応しなければならない。(上P.145)
それを真実にしよう、少なくとも私にとっては真実だ。(上P.206)
以前には村の店先でしていた噂話をいまは新聞が電信を使ってしている。(上P.262)
異質の意見を統率する者がどのようにして同質の投票を確保しおおせるか(下P.18)
人の心の中で行われる連想作用によって与えられる力以外、象徴それ自体にはいかなる力もない(下P.46)
国民は戦争開始を叫ぶことはできるが、戦場へ行くときには幕僚たちの命令に服さなければならない。(下P.59)
このような人たち(議員)は何もないところで大きな奉仕をしようと努めるより、あれこれのちょっとした問題について多くの人たちに小さな奉仕をすることを好む。(下P.81)
いかにして権力が生じるにせよ、もっとも重大な関心はその権力がいかに用いられるかにある。(下P.161)
市民は電話、電車、自動車、娯楽の料金を支払う。しかしニュースのためには積極的に料金を支払おうとしない。(下P.172)
まずはじめに、平均的な人間にとってもっとも興味深い話題は自分自身であること、その次に彼が大きな関心を寄せているのは自分の隣人たちであることをはっきり認識しておき給え。(下P.182)