香と香道
香りはなんのためにあるのでしょうか。(P.2)
香道の入門書。でも、これを読むと、ちょっと引く。というのも、香道が余りに多様な教養、しかも明治時代ぐらいの知識人が知っているような教養を前提として組み上げられていて、とてもじゃないがこんな私程度のそこいらの現代人に、そんな教養を詰め込んでおくだけの脳みそは無いやいとか思う。
とはいえ、それだけ長い年月をかけて作られてきた文化資産(あえて遺産とはいわない)である証拠でもあるのだ。
武家の「式目」好きは、新しい創造を多少規制したかもしれないが、伝統文化を後世に伝える役目も果たしたのだった。「型」が重んじられ、「道」が生まれた。(P.58)
ここまで形式化できたからこそ、明治維新と共に一度は捨て去られていても、きちんと復活できたのだ。とはいえ、こういう「道」って、明治までは男の嗜みだったのに、茶道、華道、香道とどれも女性の嗜みになってしまった。どこかで一考察したいなとか思う。
ちなみに、教養はいるけれども、引いてばかりいる必要は無くて、香をよく聞くための手段が香道なので、レッツチャレンジ、というところなのでしょうか。
香を聞き当てるのはその結果自からなるものである。組香も結局は香をよく聞くための稽古の工夫なのである。(P.183)